今日のカフェボンボンは、とことん女っぽい小説を。
おすすめは、瀬戸内寂聴の『花芯』。激しい恋に生きる女たちを官能的に描いた幻の傑作集です。
『花芯』
著者:瀬戸内寂聴
出版社:講談社
本書に収められた5編は、著者が出家するずっと前、作家・瀬戸内晴美の時代に書かれました。『花芯』が発表された当時、「子宮」という言葉が必要以上に使われていると批判され「子宮作家」のレッテルが貼られてしまったそうです。
その『花芯』の主人公は、夫も子どもも捨て、生まれて初めて知った恋に身も心も投げ打つ。恋の相手は夫の上司。出口のない危険な状況に自分を追い込んでいきながら、心は無垢のまま愛らしい。
親子以上に年の離れた男女の、生涯をかけた恋愛を描く『いろ』。狂おしい恋の余韻に、私はしばらく脱力したままでした。
長唄のお師匠さんのるいの元に、17歳の銀二郎が弟子入りする。るいはその時すでに48歳。銀二郎は、ほの暗い家に初めて稽古に上がったその日から、るいとの恋に溺れていくのですが……。「純愛」としかいいようのない圧倒的な愛が、くっきりと形を残す濃密な作品です。
本のお供には、作品のひとつ『ざくろ』にちなみ、深紅のお酒ジャック・ローズをいかがでしょう。リンゴのブランデー・カルヴァドスとザクロのカクテルが、愛の力を呼び覚ましてくれそうです。
Love, まっこリ〜ナ
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