今朝のカフェボンボンメニューは『すみれ』。
じんわりやさしい気持ちになれる一冊です。
期待の若手作家・青山七恵さんの新作は、年の離れた女同士、37歳のレミちゃんと15歳の藍子の友情物語です。
『すみれ』
著者:青山七恵
出版社:文藝春秋
年上のレミちゃんはとても魅力的で危うくて、物語を読んでいるあいだずっと、私は彼女に寄り添っているような気がしていました。
ふたりが親しくなったのは、藍子が受験生だった年の夏。始業式から戻ると“おかえり”と待っていたレミちゃん。レミちゃんはそのまま居ついてしまっていつもぶらぶらしていたから、一緒に本を読んだり、夕ご飯を作ったり、秘密を分け合ったり、ふたりは本当の友達みたいに過ごしていたの。
レミはいろいろあって誰かがそばにいてあげなきゃいけない……。両親にそんなふうに言われたからというわけではなく、幼い不良少女みたいなレミちゃんを、藍子はただ好きになっていったんだと思う。細っこくて色白で赤いマルボロを吸うレミちゃんは、繊細過ぎてまわりを振り回してしまうのに全然憎めない。
レミちゃんがいつか突然いなくなるんじゃないかって、藍子が不安がる気持ち、とてもせつないです。そう思うのはその人を好きでたまらない証拠だもの。大事な人を行かせないようにするには、つないだ手を絶対はなしちゃだめ!! レミちゃんと藍子の心の痛みがそう教えてくれます。
そして……、忘れられないふたりの「朝時間」は、浜辺でお弁当を広げるところ。
「レミちゃんの、早起きの味がする……」藍子の言葉にじんときます。
本のお供には、紅茶とアップルパイをいかがですか? 写真はふたりが過ごしたすみれ色の時間、ガールズトーク・ティータイムのイメージです。庭に咲いたゲラニウムの花を飾りに添えて。
Love, まっこリ〜ナ