おはようございます。ファイナンシャルプランナーの稲村優貴子です。
この連載では、『朝のスキマ時間に学ぶ♪家計管理・お金の基本』というテーマで、お金にまつわるコラムをお届けします。
「給与明細」は見るべし!チェックしたい控除の項目【税金編】
お給料をもらって明細をみてみると、実際の「額面」金額からたくさん「控除」されるものが…ため息が出て、項目の確認をする気にならない、という方も多いかもしれません。
前回の記事では【社会保険編】として、控除されている厚生年金や健康保険などの社会保険は、おおよそ半額勤務先が負担してくれていて、実際支払っているのは半額程度であること、また、その社会保険料を決めるための「標準報酬月額」などについてお伝えしました。
今回は、控除されている項目のうち「税金」について解説します。
年末調整ってなんのこと?「所得税」についておさらい
その年の課税所得に対して計算されるもので、国に支払う税金のこと。お給料の額でおおよそこれくらいの金額を控除しておき、年末に様々な控除があることを調整していく流れになっています。
「その年の課税所得」は現在の月収が続く想定で、源泉所得税として毎月天引きされます(源泉徴収といいます)。
10月頃から加入している生命保険会社から届く生命保険料控除証明書やiDeCoの小規模企業共済等掛金払込証明書を、勤務先の締切までに必要書類とともに提出すると、勤務先が「年末調整」をしてくれますよね。
これらの書類で所得から控除した金額をベースに、その年の1月から12月の税金を計算し、今まで給与から差し引いていたおおよその金額の所得税の額と比較し徴収しすぎていたら、1月や2月の給与に「年末調整差額」として勤務先があずかりすぎていた所得税を還付されます。
反対に、不足していた場合は、不足していた額が給与から差し引かれる流れです。
地方自治体に払う「住民税」
前年の課税所得に対して計算されるもので、地方自治体に支払う税金です。都道府県税と市区町村税の2種類があり、あわせて「住民税」として給与天引きされます。
こちらは勤務先が預かって地方自治体に送金してくれる「特別徴収」というもので、勤務先は手数料がもらえるわけではないのに、本人の代わりに納税手続きをしてくれているのです。
5月に前年の収入に基づいた住民税の支払い額のお知らせが届き、6月から金額が変わります。前年(1月から12月)の年収が、前々年度より多ければ住民税は上がり、少なければ下がります。
また、住民税は前年の収入に基づいて計算されるため、前年の収入がない社会人1年目は支払う必要がなく、天引きされません。つまり、社会人2年目の6月から住民税の支払いがスタートするため、支給額が変わらなければ、2年目のほうが住民税の分手取りが少なくなるというわけです。
知っておきたい!毎月の「給与明細」で見るべき項目【社会保険編】
まとめ
給与から控除されるものがあると、会社や役所が搾取しているイメージをもたれるかもしれません。けれど、税金に関しては、勤務先が本人が支払うべき税金を計算したり、支払いを代行してくれているのです。
私がセミナーでこのことをみなさんにお伝えすると「愛社精神が増した」という感想をいただくこともあります。仕事のモチベーションにつながるかもしれませんし、控除のしくみについてはしっかり把握しておきたいですね。
給与明細には知っておくといい項目がたくさんあります。手取りだけではなく、控除されている項目もぜひ毎月確認するようにしましょう。