この連載では、朝活コミュニティ「朝キャリ」のみなさんに、朝の時間の楽しみ方や、朝活をして変わったこと、取り組んでいるチャレンジをご紹介いただきます!
私は眼科医師で、クリニックを経営しています。患者さまに満足していただくことはもちろんですが、医療従事者が働きやすいクリニックを作りたいという想いで開業し、今年で15年になります。
おかげさまでスタッフの勤続年数は長く、10年近く勤務している人が半数以上います。
「心理的安全性」を高めるために
開業当時、どうすれば働きやすいクリニックを作れるのかを掘り下げて考えるうちに「心理的安全性」という概念が大切だと気づきました。
開業当時は心理的安全性という言葉が知られていなかったので、自分で考えて失敗を繰り返しては、心理的安全性のある職場をコツコツ作り上げてきました。
その結果、心理的安全性を高めるためには、まず経営者である私が心をしなやかに保つことが大切だと思うようになりました。
心が硬くなってしまうと、相手の意見や感情を受け入れることが難しくなるのです。そうすると、ぶつかり合って傷つけることになり、自分自身も苦しくなります。
経営は、大きな責任とストレスを伴いますが、苦しくなると経営を続けることができなくなります。ですから、私が自分の心の状態をしなやかに保つことは、大切な仕事の一つだと考えています。
夜に「感謝を3つ」書き出して、心をしなやかに
私が心をしなやかに保つために有効だと感じているのが、感謝の習慣です。
具体的には、寝る前に、その日感謝したいことを3つ書き出すようにしています。始めてから5年経ちますが、ほぼ毎日書いています。
内容はささやかなことです。例えば、丁寧に入れたコーヒーが美味しかったとか、そんなありふれた日常のことを書いています。
自分のための感謝習慣が、結果的には周囲のためになる
感謝の日記を書くまでは、私は感謝とは相手のためにするものだと思っていました。しかし実際にやってみて気づいたのは、感謝は自分のためにする、ということです。
感謝をすると、自分自身が一番気分が良くなるのです。その結果、心が整い、自然に笑顔になります。自分の感謝がめぐりめぐって、スタッフにも笑顔が広がります。2023年4月現在、クリニックは直近3年間、離職率ゼロとなりました。
実際に、私のクリニックはスタッフの笑顔があり、明るくて雰囲気が良いと患者様に褒めていただくことが多いのです。
患者さんの役に立てること、スタッフが手伝ってくれること。当たり前だと思うことに感謝をしていくうち、少々トラブルがあっても、前向きに対処するマインドに変わっていきました。
トラブルは自分を成長させてくれるための大事な機会だと思えるようになりました。そして、自分から愚痴や言い訳がなくなっていきました。
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みなさんも、感謝の習慣を夜の時間に取り入れてみませんか?心がしなやかで整い、気持ちの良い朝を迎えられるようになりますよ。
土田香菜さんのプロフィール
2009年にヒルサイド眼科クリニックを開業。1人でゼロからのクリニック開業を経験。心理的安全性のある医療経営の手法を手探りで身につけた。クリニックは直近3年間離職率ゼロ(2023年4月現在)。効率的なクリニック経営を日々研究、実践している。
女性が働きやすい職場作りのアドバイス経験豊富。保険診療のクリニックを経営する傍ら、執刀技術向上と女性の執刀医のロールモデルを目指して、自由診療にも挑戦。産休のブランクを乗り越え、2人の子育てをしつつ、累計約一万眼の手術実績を持つ。
土田さんの公式ホームページ:https://siro.yagi3.page/kana/
土田さんの著作:『時間と心に余裕が生まれるレーシックとICLがわかる本』