おはようございます。LINEで気軽に相談できるオンライン漢方サービス『わたし漢方』の漢方薬剤師 さっちです。
このコラムでは、不定期で季節の不調を改善するヒントをお伝えしています。
先月から、マスクの着用について個人の判断が基本となる方針が示されましたね。医療機関や高齢者施設を訪れるときや混雑している場所などで着用が推奨されているケースもありますが、普段の買い物や仕事では外すという方も徐々に増えてきているようです。
しかし、外したいと考えていても、長期間のマスク生活でお肌が荒れてしまい、なかなかマスクを手放せない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
春は芽吹きの季節で、肌の悩みも増える傾向にあります。今回はそんなお肌のトラブルについて、漢方ではどのようにケアをしていくのかお話していきたいと思います。
どうしてマスクで肌荒れするの?
みなさんもマスクを長時間着用していると感じると思いますが、マスクの中は呼気によってどうしても湿気がこもりがちになります。この状態は一見肌の保湿に良いように思えますが、実はマスクの下の湿度が高くなる=肌が潤うというわけではありません。
マスクの隙間などから水分が蒸発するときに、お肌に必要な水分までもっていってしまうので、反対にお肌が乾燥してしまうことも。さらに、高温多湿のマスクの下は細菌が繁殖しやすい環境や肌がふやけた状態になるので、角質層のバリア機能(身体を守る皮膚の働きのひとつ)の低下が起こりやすくなります。
バリア機能の低下は角質層のターンオーバー(古い角質から新しい角質へ生まれ変わる仕組み)のサイクルの乱れを生みます。
サイクルが通常よりも早くなると、潤いを蓄える力がなくなり、反対に遅すぎても古い角質が残ったままなのでざらつきや肌荒れの原因になります。
さらに、マスクの着脱、ズレを直す、口を動かして話すなどの行為から摩擦が起こり、またさらにバリア機能の低下が起こるという悪循環に陥ることも。
このように肌トラブルの原因になりやすいマスクの状態に、栄養不足、睡眠不足、ストレス、内臓の疲れといった生活習慣、摩擦など、様々な要因が重なり、なかなか治らない肌トラブルの原因になっていると考えられます。
あなたのお悩みは?漢方理論で考える肌トラブル
漢方には、「気血水(き・けつ・すい)」と呼ばれる基本的な考え方があります。人それぞれ違う、足りていない・循環していない要素を把握し、そこから見える体質から最適なアプローチを見極めていきます。
肌の乾燥が気になる…
前述したとおり、マスクの中はとても乾燥しやすい状態です。
さらに、身体の栄養を行き渡らせる役割のある「血」が不足していると、お肌に栄養や潤いが足りなくなるので、カサつきに悩みやすくなります。女性は月経があるので血を消耗しやすいので、日頃から貧血のお悩みを抱えている方は特に注意。乾燥がひどくなると痒みを伴うこともあります。
血が不足することによって血の巡りも悪くなるので、乾燥だけではなく顔色のくすみやシミ、クマが消えないというお悩みにもつながります。「血」を養うことでお肌に栄養をしっかり与えてあげて潤いを取り戻していく必要がありますね。
吹き出物が気になる…
「肌は内臓の鏡」ともいわれるくらい、お肌と内臓の関係は深く、皮膚表面だけの問題ではなく内側の不調が現れていることもあります。
六腑のひとつである大腸は乾燥に弱く、腸内環境が乱れると化膿や炎症が起こりやすくなったり、治りにくい状態が続くようになります。
ほかにも、ストレスにより熱が身体にこもり炎症を起こしているケース、免疫力の低下からアクネ菌が繁殖しやすい状況など常在菌のバランスが崩れやすくなっているケース、血の巡りの悪さから老廃物が溜まりやすくなっているケースなども見られます。
シワ・たるみが気になる…
皮膚の弾力の元になる気や血が不足すると、シワやたるみが目立つようになるとされています。加齢が原因として大きい場合は、年齢とともに弱りやすい「腎」を補う漢方薬が向いているケースもあります。
ほかにも、紫外線・乾燥・新陳代謝の低下・女性ホルモンの低下などが考えられます。
毎日しっかり保湿ケアをして、食べる物にも気を使っているのに、肌トラブルがなかなか治らない…という方は、ストレスやホルモンバランスの乱れによるものかもしれません。
このように、お悩みや原因は人それぞれ。
漢方では問診をとても大切にしており、一見関係なさそうな事柄からもヒントを得て、ひとりひとり違うお悩みや体質に寄り添ってあなたに合ったアプローチを考えていきます。
誰かに見せたいお肌になるために!おすすめの朝習慣
健康な身体は整った食事や睡眠など普段の生活習慣からもつくられます。
夜ふかしや寝坊はほどほどに、起きたら朝日を浴びて、栄養バランスの整った朝ごはんから一日をスタートさせましょう。
血を汚すとされている食べもの=なるべく避けよう
- 甘いもの ・辛いもの(刺激物)
- 味の濃いもの ・アクの強いもの(山菜・タケノコなど)
- 加工品 ・アルコール
- もち米 ・えび
- かに ・魚卵 など
お肌の栄養になり潤してくれる食べもの=積極的に食べよう
- 黒豆
- 黒米
- ひじき
- 黒きくらげ
- 黒ごま
- 白ごま
- ゆりね
- 松の実
- 山芋
- れんこん
- はちみつ など
出かける前には、ファッションチェック
家を出る前にはマスクの大きさや素材が自分に合っているか、昨日と同じマスクを使っていないかなどのチェックを忘れずに。
マスクが大きいと摩擦が生じやすくなったり、隙間から蒸発する水分が多くなりお肌への負担になりますし、硬い・チクチクするなどの素材は大きなストレスにもなります。
布のマスクを使うときには、優しい天然素材(綿・絹など)の肌にやさしく通気性のあるマスク、不織布タイプのマスクを使うときには間にガーゼやコットン、優しい素材の布などを挟むのがおすすめです。
体質がわからないなら…相談してみよう!
いまはまだ花粉などもありマスクをしている方のほうが多い印象を受けますが、これから暑くなる季節には外そうと考えている方も多いのではないでしょうか?
身体のバランスは、ひとつが乱れると他の働きにも影響して様々な不調が出やすくなるので、複雑でわかりにくいものです。
『わたし漢方』では、どれかひとつではなく症状が目立つ部分や、影響が強い部分などをカウンセリングでお伺いし、ひとりひとりの生活習慣も合わせて見直すことで不調の改善に取り組んでいくためのお手伝いをしています。
本質的な解決につながるかもしれませんので、ぜひ一度ご相談ください。
不調と向き合い、健康な身体づくりを始めてみませんか?