おはようございます。LINEで気軽に相談できるオンライン漢方サービス『わたし漢方』の漢方薬剤師 さっちです。
不定期で、季節の不調を改善するヒントをお伝えしています。
今月のはじめに、女性が生涯を通じて健康で明るく、充実した日々を自立して過ごすことを目指して定められた「女性の健康週間」がありました。そこで今回は、女性がライフステージごとに抱えやすい不調をテーマに、漢方の考え方や生活習慣・食など様々な視点からの養生法について解説していきたいと思います。
女性の健康に大きく影響する「女性ホルモン」
ホルモンとは、簡単に言うと「体の中の様々な機能を整える物質」です。骨や筋肉の成長・代謝・消化など、私たちの体は様々なホルモンの影響を受けています。
私たちの体の中には100種類以上のホルモンが存在しますが、中でも女性のライフステージを語るうえで欠かせないのが「女性ホルモン」との関係。
「女性ホルモン」は妊娠・出産の機能やそれを取り巻く身体の土台づくりにはたらきかけるもので、卵巣でつくられます。
女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があります。
ライフステージごとに見る女性特有のお悩み
女性の一生はこの女性ホルモンの環境によって、思春期~性成熟期~更年期~老年期というように、大きく4つのライフステージに分けられます。
特に「エストロゲン」は年齢やライフステージによって分泌量が変化し、女性の健康に大きく関係します。この変化に伴い、ステージごとに特徴的な不調が出やすくなるといわれています。
ライフステージごとにやってくる不調を改善するためには、まず自分がどのライフステージにいて、どのようなトラブルの可能性があるのか、把握することから始めましょう。
思春期(10歳~18歳頃)
女性の体は思春期から次第に卵巣や子宮が育ち、妊娠や出産に向けて準備をはじめます。
卵巣の機能やホルモンバランスがまだまだ完成しきっていないので、月経トラブル(月経不順・月経痛・PMS・不正性器出血など)が起こりやすくなります。
性成熟期(18歳~45歳頃)
一生のうちで、エストロゲンの分泌が安定して生理も順調なこの時期は、肉体的には妊娠・出産にもっとも適しているといわれています。
一方で、少しのエストロゲンの変化が影響し、つらい月経トラブルに悩まされることも。子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症といった女性ホルモンに関係する病気が増えてくる時期でもあります。
更年期(45歳~55歳頃)
「閉経」を挟んだ前後5年の10年間の時期を指します。エストロゲンの分泌が急激に低下するのでホルモン環境が激変し、心身ともに不調があらわれることがあります。
骨量を保持する効果・コレステロールのバランスを整える効果・血管拡張させる効果が減少するため、骨粗鬆症や脂質異常症、動脈硬化の積極的な予防が必要に。
老年期(55歳頃~)
これまでエストロゲンによって維持されていた骨や血管、お肌のトラブルなどに注意が必要な時期。近年では平均寿命が延び、エストロゲンの恩恵を受けられない老年期が長くなりました。
更年期の症状が安定する一方で、脂質異常症・高血圧・糖尿病などの生活習慣病や骨粗鬆症が増えます。
漢方理論で考える女性のお悩み
ホルモンの影響による症状に対しては、西洋医学の主な薬物治療ではホルモンを補うなどの方法が多いですが、漢方医学ではその人の体質と症状に合わせてケアを考えていきます。
月経痛
痛みの中でも月経痛は主に「血」が滞った体質に多いとされ、血の流れが滞ると痛みの症状が出やすくなるので、血を巡らせる効果のある漢方薬でケアをしていきます。
人によっては血の滞りが血の不足から起きているケースもあるため、血を補うケアを優先することもあります。その他、気や水の巡りの悪さの可能性や冷えなども考慮します。
PMS(月経前症候群)
PMSはどのような体質かによって、出やすい症状が大きく変わります。
- 気の巡りが悪い …情緒不安定・イライラ・抑うつ・不安などの心の不調
- 血の巡りが悪い …冷えのぼせ・肌荒れ・肩こり など
- 血が不足している …めまい・ふらつき・不眠・動悸 など
- 水の巡りが悪い …むくみ・胸の張り・重だるさ など
更年期障害
精神的な不安定さやホットフラッシュなどがイメージされやすい更年期障害ですが、実は体質によって出やすい症状が異なります。
- 気の巡りが悪い …のぼせ・イライラ・ホットフラッシュ など
- 気が不足している …疲れやすい・だるい・食欲不振 など
- 血の巡りが悪い …冷えのぼせ・頭痛・肩こり・身体の痛み など
- 血が不足している …不眠・動悸・髪が抜ける・皮膚の乾燥 など
- 水の巡りが悪い …頻尿・関節の痛み・こわばり・むくみ など
滞っている要素を巡らせたり、足りていない要素を補ったり、それぞれの体質や出やすい症状に合わせてアプローチを決めていきます。
充実した毎日をつくる朝ごはん
一日のスタートになる朝ごはんをしっかり食べるようにしましょう。
朝ごはんを食べると、体の中に熱が生まれて体温が上がります。冷えた状態は痛みを感じやすくなったり、栄養不足は月経不順やPMSの悪化につながるなど、朝ごはんを食べる習慣のない人は食べる人に比べて月経トラブルを抱えやすくなるといわれています。
朝ごはんからスタートする一日の食事を整えるうえで大切なのは、日々の食事が私たちの身体をつくり、日々の健康を支えていくことを意識して適切な食事を心がけること。
和食中心の食事を心がけ、穀物・野菜・海藻類・魚介類・豆類に味噌や漬物などの発酵食品を組み合わせて食べることがおすすめです。
刺激物や甘いもの、味の濃いもの、加工品、脂肪や動物性たんぱく質の摂りすぎには注意しましょう。
ほかにも食養生のポイントとしておすすめなのが、食材をまるごとすべて食べること(一物全体)とその土地で育った作物を季節に合わせて食べること(身土不二)。
食材をまるごと食べよう
- 野菜…なるべく皮をむかずに葉や根の部分も食べる
- 小魚…頭から尾まで食べる
- 穀類…精白していない物を食べる
このように、食物をまるごとを食べることはその食物が持つ栄養を全部を摂ることができ、体にとってバランスの良い食事になると考えられています。
実際、人参に含まれるβカロチンは皮を含む外側に比較的多く含まれていて、大根の葉にビタミンをはじめとする栄養素が豊富に含まれていることなどがわかっています。
その土地で育った旬のものを食べよう
寒い北海道でつくられるてんさい糖は体を温める効果があり、暖かい沖縄県で主に穫れるさとうきびからできた砂糖は熱を冷ます効果があるなど、その土地に住む人に必要な食材がその土地でつくられていることが多いです。
また、きゅうりやスイカなど、体のほてりを冷ます食材が夏に旬をむかえるように、旬の食材はその季節に合った食材といえます。
自然から与えられる恵みをたくさん吸収しているので、他の季節と比べて栄養価が高いことも理由のひとつとして挙げられます。
ほかにも、女性は月経があるために血が足りなくなりやすい傾向があるので、血を補うとされる黒色や赤色の食材を積極的に摂ることもおすすめです。腹8分目を心がけて、よく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。
体質がわからないなら…相談してみよう!
女性特有のお悩みをはじめとして、忙しい現代に生きる女性は様々なお悩みを抱えています。身体のバランスは、ひとつが乱れると他の働きにも影響して様々な不調が出やすくなるので、複雑でわかりにくいものです。
『わたし漢方』では、どれかひとつではなく症状が目立つ部分や、影響が強い部分などをカウンセリングでお伺いし、ひとりひとりの生活習慣も合わせて見直すことで不調に取り組んでいくためのお手伝いをしています。
本質的な解決につながるかもしれませんので、「体質がわからない」「長年の悩みがあるけれどどうしたら良いかわからない」という方はぜひ一度ご相談ください。
充実した毎日を過ごすために、自分のライフステージと不調に向き合って、健康な身体づくりを始めてみませんか?
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