朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』。
「台所」という場所をテーマに、喪失感を抱えながらも生きていく人たちの物語をつづったノンフィクション。朝日新聞デジタルマガジンの人気連載「東京の台所」から生まれた一冊、新刊です。
『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』
著者:大平一枝
出版社:毎日新聞出版
いつもどおり台所に立てない。ちゃんとごはんを作らなきゃと思うのだけれど、心がついていかない。
私自身がそういう気持ちでいるときにこの本を手に取り、ひとりひとりの物語をかみしめながら読みました。台所を訪ね歩く取材を続けてきた著者は、大きな喪失を体験した人たちが再び歩き出し、ごはんを作るために台所に立つまでの日々をていねいに描いています。
離婚し深く傷ついた男性が苦手だった料理をするようになったのは、餃子パーティーに誘われたことがきっかけでした。友人たちに支えられ、いつしか台所に立つのを楽しむようになったそうです。パートナーを亡くしたばかりの女性は、ふたり暮らしからひとり暮らしになって気づきます。「買い物って無意識のうちに家族のことをずっと考えながら選んでるものなんだね」——。悲しみのなかにありながら、毎日台所に立ち続ける姿に胸を打たれます。
料理家の小堀紀代美さん、フードライターの白央篤史さんら「食のプロ」の台所も紹介されています。「何も失っていない人などいない」という言葉が、本を閉じたあともいつまでも心に残り続けています。
大平一枝さんの本、以前ご紹介したこちらもぜひどうぞ。
*『男と女の台所』
*『信州おばあちゃんのおいしいお茶うけ』
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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