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『向田邦子を読む』もう一度、素敵なあのひとに出会える一冊

 

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『向田邦子を読む』

向田邦子の作品とその素顔を深く知るための一冊、文庫新刊です。愛され続ける作家の軌跡、思い出交遊録、人々を惹きつける作品の魅力といったテーマで、向田邦子の世界を紹介。傑作小説やエッセイも収録しています。ファンの方はもちろん、これから作品を読んでみたいという方にもオススメです。


向田邦子を読む
編:文藝春秋
出版社:文藝春秋

1981年の夏、向田邦子さんが飛行機事故で急逝してから40年が経った。この本には、向田邦子さんに寄せるさまざまな人の思いが詰まっています。

作家の諸田玲子さんは向田邦子さんには三つの香りがあるという。作品にあふれる「昭和の香り」と「山の手の香り」、もうひとつは一人の女としての「秘密の香り」。田辺聖子さんは「向田さんのこと」という文のなかで作品の奥深さに触れている。「向田さんの小説やエッセーは、みな、たのしくておかしかったが、楽天的とか向日性とか人を憩わせるのんきさはなかった。口に甘い味を舐らせながら、ぎょっとする人生の深淵をかいまみせる、怖ろしさも皮肉もあった」。

作家の澤地久枝さんは、友人だった向田さんとの思い出をこんなふうに語り始める。「手首と足首が細くキュッとしまった、しなやかな躰の人だった」。彼女の妙な特技、爪を噛む癖、一緒に行った外国旅行。「鼻歌まじりで仕事をしているようにふるまいながら、あの人は骨身を削って書いていた」——。向田さんと親しかった人が突然の死をどのように受けとめ、深い悲しみと折り合いをつけてきたのか。その痛切な想いを知る一冊でもあります。

颯爽と歩く向田邦子さんの写真を繰り返し眺めながら読みました。素敵なあのひとは、こちらに向かってくるようにも去っていくようにも見える。向田邦子の素顔も伝える一冊をどうぞ。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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