朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、休日の朝の読書リスト。
ゆっくりおうちで過ごす日は、身も心も愛の物語に浸るのはいかがでしょう。真夏の読書にぴったりの濃密な恋愛小説をセレクトしました。何もかも忘れて愛の本にのめりこむ休日をぜひ。
恋ごころ。
作家・田辺聖子の最高傑作といわれる極上の恋愛小説。大阪生まれの乃里子は三十一才。デザイナーの仕事は順調で、恋愛は気持ちのおもむくまま。年下の御曹司の剛(ゴウ)とは似た者同士、遊んでいて楽しいし、時には年上の魅力的な男たちに口説かれてみたりもする。自由奔放に男を翻弄するのに、好きでたまらない五郎にだけは好きといえない。「肉体も心も、私が独占したい」と願っているのに、どうしても言い寄れなくて——。
本当は純情可憐だからこそ「言い寄る」ことの重さにたじろいでしまう。ときめいて、嫉妬して、ままならなさに身悶えする乃里子の恋ごころ。これぞまさに恋愛小説の決定版ですね。デザイナーとしての乃里子も魅力的。彼女が考えた下着がすごく素敵です。本書は、乃里子三部作の第一弾。『私的生活』『苺をつぶしながら』と続きます。乃里子に共感し、彼女をとりまく男たちを好きになる。私はずっとこのシリーズのとりこです。
『言い寄る』
著者:田辺聖子
出版社:講談社
恋の痛み。
人気作家・西加奈子のピュアな恋愛小説。誰かを好きになったときの胸の痛みも甘さも、ぜんぶ詰まった一冊です。
三十二歳、独身の夏目香織は、もう恋をしたくなかった。大きな恋を失ってずっと立ち直れなかったから。なのに、彼女はあっという間に恋に落ちて、絵描きの男にのめり込んでいく。「あかん」と思っても会いたい。触れたい。彼が隣に座るだけで、背骨が、きゅう、と甘えた音を立てる。別れた後の道で、体じゅうの力が抜けてしゃがみこんでしまうほどに、彼が好き。
男の仕草を見ては、甘い衝動に駆られる夏目。そこには駆け引きや算段なんて微塵もなくて、好きという気持ちがあるだけ。だけどそんな恋は苦しすぎて……。読み終えたら放心してしまうけど、また読みたくなる。恋の深みにはまります。
『白いしるし』
著者:西加奈子
出版社:新潮社
究極の愛。
恋愛小説の名手・唯川恵が、女の情念や嫉妬をエロティックに描いた奇譚集。逢魔とは魔物と出逢うこと。これほど怖ろしいことはないはずなのに、この物語の男たちが出逢う魔物は、一途で美しく愛らしいのだ。
牡丹燈籠、四谷怪談、番町皿屋敷、ろくろ首など、古典を元にした八つのストーリーは、どれも妖しく官能的。道ならぬ恋の果てに死霊となった女が、地獄におちることさえ怖くありませぬと言う。情にほだされた男はこの世への未練を捨て女のもとへ……。こうなったら、人間も妖怪もあの世もこの世もない。愛を貫く男と女の純情が愛おしくてたまらないのです。
『逢魔』
著者:唯川恵
出版社:新潮社
くわしくはこちらの記事をどうぞ。
*『言い寄る』
*『白いしるし』
*『逢魔』
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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