朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ～ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ～ナのカフェボンボン」の本棚は、新装版『太陽と毒ぐも』。
同棲相手の性癖や習慣がどうしても許せなくなったとしたら？ 人気作家の角田光代が同棲中の恋人たちを描いた恋愛短篇集です。長く愛され続けてきた物語を新装版でぜひ。
『太陽と毒ぐも』
著者：角田光代
出版社：文藝春秋
どうしてもイヤ。同棲相手のことを確かに愛していて、許せないことがたったひとつだとしても。
一緒に暮らしていたって、はたからは仲よさそうに見えたって、胸の内はわからない。荒々しい言葉で毒ついたりののしったりしているかもしれない。やがて心の声を相手にぶつけずにはいられなくなってくる。修羅場になってもいい。別れても構わない。そんな危うい状況にいる男女の物語が赤裸々に描かれています。
とくに私が好きなのは、正反対の性格の二人の葛藤を描いた「５７５７７」。相手のことを許せないのは「ぼく」の方。恋人のナミちゃんのひどく開けっぴろげな性格に、大きなストレスを抱えて悶々としています。でも、このナミちゃんが魅力的なんです。いろいろやらかしてしまうけどなんともかわいい。二人の間のプライベートなことを誰にでもしゃべってしまうのは問題だけど。
非難されたナミちゃんが大泣きをして言い訳をする。そんな彼女を眺めながらぼくは「すごくちいさな子ども」のようだとふと思う。いつか「彼女の子どものころの姿を見てみたい」と思った気持ちがよみがえってくる。
腹が立って仕方なかったのに、本人に怒りをぶつけたとたん愛おしさが募る。諍いのあとはいつもやるせなくて。「サバイバル」「昨日、今日、明日」「お買い物」「雨と爪」など、11作品を収録しています。夏休みの読書にもお勧めです。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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