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幻の鉢植え文化の世界。草木を愛した江戸の人々の美意識を伝える一冊

 

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『江戸奇品解題』

江戸時代半ばに生まれた幻の鉢植え文化を案内する一冊。草木を愛し共に暮らした江戸の人々に想いを馳せてお届けします。


江戸奇品解題
著者:浜崎大
出版社:幻冬舎ルネッサンス

江戸時代に「奇品」と呼ばれる鉢植え文化が花開きました。「奇品」とは「変わり物」という意味で、「江戸時代に作られた鉢植えの中でも、明治以降ほとんど見ることのできない斑入りや葉変わりの植物」のこと。奇品家たちは人工的な交配などは一切せず、自然に変異した植物の葉に美を見出し奇品として大切に育てたのだそうです。

斑入りや葉変わりの植物をあるがまま、自然のままに「人為を超えたところから生まれた無心無作の美」として高く評価するのが奇品の美意識です。本書では、鉢植えの歴史、奇品の誕生と発展を詳しくたどり、日本独特といわれる美の世界を読み解きます。

奇品好きの人たちの同好会まであったそうです。みんなが熱心に語り合ったり植物を愛でたりする。その集まりをちょっとのぞいてみたい気がします。奇品に情熱を傾けた人のこんなエピソードも。愛妾に「私と奇品のどちらを深く愛しているか」と聞かれ「我奇品を妻とし汝を妾とする」と……。

家族の一員のように奇品を愛した人たちに守られて、およそ百四十年続いた奇品の文化。「奇品の中には、意外な場所でひっそりと生きながらえているものがあるかもしれない」著者の言葉にロマンが広がります。当時の文献やカラー図版も多数収録され、江戸の伝統文化を知る貴重な一冊です。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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