おはようございます。料理家のまきあやこです。
この連載『本と映画と朝ごはん。』では、朝におすすめの本や映画、そして、一緒に楽しみたい簡単朝ごはんレシピをお届けしています。
今月は、岩井俊二監督作品の映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』をご紹介します。
残暑の朝に観たい映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
みなさんにとっての「夏映画」ってありますか?
私にとっては今日ご紹介するこの映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が、こどもの頃からの永遠の「夏映画」です。
現在は、映画としてDVDにもなっているこちらの作品、実は当初の公開はテレビドラマとしてだったんですよ。まだ今のように有名映画監督になる前の岩井俊二監督の初期作品です。
たまたまこのテレビドラマを、リアルタイムで観ていたのがこの作品との出会い。「なんてなんてすごいドラマなんだーっ!!」と何日もその衝撃と感動にぼんやりとしました。
その後、アニメ版も制作されています。
毎年、夏の空気を感じると、そして夏の終わりの風を感じる頃にも、そっと棚から取り出してこの作品に詰まっている「夏」にまつわる全部を、大きく吸い込みたくなるのです。
舞台は海沿いの町、夏休み中の登校日、花火大会の夜、悪ガキ男子5人組と奥菜恵が演じるヒロイン「なずな」との1日の出来事。
「花火って果たして横から見ると丸いのか?それとも平べったいのか?」に、夏休みの宿題をかけて灯台まで確かめに行こう、という計画が持ち上がります。
夏休み中に、引越しをすることが決まったなずなは、典道(山崎裕太)か祐介(反田孝幸)のどちらかを誘って駆け落ちを目論見ます。
一瞬の出来事が、その先の出来事を大きく変えてしまうような、けれども、結局は、どんなことが起こっても、大きな運命って変えることができないような。そんな、ひと夏の、1日の、きらきらとした物語です。
夏映画と一緒に楽しみたい♪5分で簡単にできる「レンチン納豆キムチ素麺」
さて、今日の妄想朝ごはんは、夏休みの朝にお母さんがちょっと手抜きをして典道に作ったであろう、電子レンジだけで作れる簡単そうめんのレシピです。
あっという間に作ることができて、さっぱり美味しくて、キムチと納豆が入るのでボリュームもあります。簡単なので、寝坊して起きた典道が、一人でも作れるんじゃないかな、と思います。
暑い暑い夏、お湯を沸かすのも暑くて大変。そんな朝に、5分で出来る「冷麺風のレンチン納豆キムチそうめん」。
いつものめんつゆに「お酢」と「ごま油」を入れることでさっぱり&冷麺っぽさが簡単に作れます。
夏休み気分の朝にも、簡単ランチにも、遅く帰った夜にも、ぜひお試しください。
<材料> 一人前
- (a)そうめん 1把
- (a)鶏のささみ 1本
- (a)オクラ 2本
- (a)水 200cc
- (b)めんつゆ 150cc程度(濃縮タイプなら希釈した状態で)
- (b)酢 大1
- (b)ごま油 適量
- 納豆 適量
- キムチ 適量
お好みの薬味など 今回はゆで卵・しそ・白ごまを添えました。その他、生姜や海苔、ミョウガなどもおすすめ。
<作り方>
1) 耐熱容器に(a)を入れてラップをかけたら、600wのレンジで4分加熱する。
2) ささみとオクラを取り出し、そうめんを水でよくすすいで締める。ささみは手でほぐして、オクラは5mm程度に刻む。
3) 器に(2)と納豆、キムチ、薬味をトッピングして、(b)を注ぎ入れたら完成。冷たくお召し上がりになるときは氷を入れても◎
このレシピ、一見ズボラレシピのように見えますが、おそうめんの塩分がお水に溶け出してささみとオクラにしっかり下味がつきますし、お水がささみにまわって蒸し鶏のようにふっくらと仕上がったり、と完成度はかなり丁寧に作ったおそうめんのようになります。
夏、花火、じりじりの蝉、友達、好きな子がいること、夜のプール、何かが変わるような、けれど何も変わらないような、日常を非日常に変える夏の魔法とか、短くて長い夏休みの、たった1日の出来事。
そろそろ秋の風を感じる今日この頃。本格的な秋がやってくる前に、ことしの夏を、そしていつかの夏を振り返ってみては?
ちなみに、こちらの作品、その熱狂的な人気から、1999年に、撮影当時のキャストが再びロケ地を巡って当時を振り返る、というドキュメンタリー作品『少年たちは花火を横から見たかった』が作られたり、大根仁監督作品のドラマ『モテキ』の第2話では、『打ち上げ花火〜』のロケ地を作中で訪れるストーリーがあったり。
こちらもあわせてオススメの作品ですので、気になる方は合わせてご覧くださいませ。
☆この連載は<毎月1回第4金曜日>に更新します。次回、9月の記事もどうぞお楽しみに…!