今日の「まっこリ～ナのカフェボンボン」の本棚は、長嶋有の『祝福』。
女性主人公と男性主人公が交互に登場する、素敵な試みの短篇集です。「祝福」「ファットスプレッド」「ジャージの一人」など十篇を収録しています。
『祝福』
著者：長嶋有
出版社：河出書房新社
高校のマラソン大会をさぼった帰り道、海に沈む夕日を見る。花火大会でこっそり恋人の手を握る。こんなふうに日常がふいにきらめく瞬間は、世界が鮮やかに色づくようで何度もキュンとする。
新婚夫婦を描く「ファットスプレッド」の「私」は、友人にブログを始めたらと言われ、やめとくと答える。毎日の平坦な暮らしで感じるほとんどのことを、誰にも伝えなくてもいい。世界中の誰にも言わなくたっていい。だけど、たまたま出会った夫にだけは話したいと思う。鳥の巣のことや桜が咲きそうなこと、なんでもない他愛ないことを。
その夜、彼女が炒め物をしているところに夫が帰ってきて、何気なく鳥の話になる。きらめく一瞬が日常のなかにやわらかく溶けていく感じが好きです。
どのストーリーも味わい深くて、男子も女子もすごくいい味出しています。トップバッターからトリまで、読み終わるのが残念な十篇です。表紙カバーの写真もグッときます。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ～ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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