今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、原田ひ香の傑作小説『彼女の家計簿』。
シングルマザーの里里の元に届いた数冊のノート。自分の祖母が書いたものかもしれない家計簿が、さまざまな人生を送る女たちの絆を結んでいく。ひたむきに生きる女性たちに心励まされる感動作です。
『彼女の家計簿』
著者:原田ひ香
出版社:光文社
晩のおかず 野菜煮つけ、おみお付け。昭和十七年のこと。新妻の加寿は月々十四円を預かり、その中からご飯とおかずを作る。別の日の晩のおかずは、ふきの煮物とみそ汁。ときにはこんな心和む記述も。たんぽぽ、川辺で摘む、零円。
加寿という女性が遺した家計簿には、毎日の食費やおかず、日記のようなメモが事細かに記されていました。祖母のものかもしれない家計簿に強く引き込まれる里里。ノートを読み進むうち、ひとりの女性の愛と哀しみに満ちた人生が浮かび上がります。
生活のすべてを記した家計簿は、ひとりの女性が妻として、母として生きた証。この家計簿をきっかけに、水商売や風俗などで働いていた女性たちの援助団体の代表や引退した有名AV女優との絆が深まっていきます。
いつの時代もひたむきに生きてきた女性たち。家計簿に心揺さぶられた里里が、そっと娘を抱きしめるシーンが心に残ります。家計をやりくりしおかずを作った加寿と、幼い娘のためにイチゴジャムを煮る里里が時代を超えて重なります。
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*『アイビー・ハウス』
Love, まっこリ〜ナ
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