今日のカフェボンボンは、幸田文の『木』。
木との出逢いをつづった名随筆です。
逢いたいと願った木のもとへと、北海道から屋久島まで出かけていく。
木とまっすぐに向き合い、その一生をみつめ、
美しく簡潔なことばでつづる。
木の生死輪廻を目の当たりにし胸をかき乱された時、
著者は古株の上にたくましく育つえぞ松と出逢う。
古株の芯にそっと手を入れて探ってみたら、
雨に濡れた林の中で、そこだけが乾いて温もりをもっていた。
幸田文が信じたのは、木は情感をもって生きているのだということ。
しかし、山地の崩落や川の荒廃の現場に足を運ぶようになると、
樹木への気持ちが不安を伴った「気づかわしいもの」へと変わってゆく……。
木の命への真摯な想いに心を打たれる一冊。
「藤」「ひのき」「杉」「ポプラ」など15篇。樹木への見方も変わるかもしれません。
『木』
著者:幸田文
出版社:新潮社
Love, まっこリ〜ナ