今日のカフェボンボンは、『いちょうの実』。
宮沢賢治の作品『いてふの実』をもとにした絵本です。
人気ユニット100%ORANGEの及川賢治さんが、いちょうの木とその実の旅立ちを生き生きと描きます。
『いちょうの実』
作:宮沢賢治/絵:及川賢治
出版社:三起商行
それは、冷たく澄み切った明け方でした。いちょうの実がみんな一度に目を覚まし、旅立ちの日を迎えます。
丘の上の銀杏の木はお母さん、黄金色の実は、今年生まれた千人の子どもたちです。お母さんは子どもたちとの別れを悲しむあまり、扇形の黄金の髪の毛をみんな落としてしまい……。
未来へ心を弾ませる子、不安そうな子、兄弟を思いやる子。いちょうの実の表情やしぐさがひとりひとり違う。無邪気なおしゃべりにもお母さんへの愛があふれます。
いちょうの「朝時間」は、桔梗の花びらのように底光りする東の空。
「そらのてっぺんなんか冷たくて冷たくてまるでカチカチの灼(や)きをかけた鋼(はがね)です。」賢治が独特なことばで表現した特別な朝が、いつまでも心に残ります。
星が消え桔梗色の空が白くなったら、旅立ちの合図。別れの時が刻々と近づいてきます。
Love, まっこリ〜ナ
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