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アン・ビーティの絵画のような短編集

 

BONBON263b

今日のカフェボンボンは、『この世界の女たち』

アメリカの作家で短編の名手アン・ビーティの短編集。
静かな愛が余韻を残す、味わい深い作品です。


20140723

この世界の女たちーアン・ビーティ短篇傑作選
著者:アン・ビーティ/訳:岩本正恵
出版社:河出書房新社

雪の結晶のように繊細で壊れやすい、さまざまな愛の形。
淡々と語られる恋人同士や夫婦の関係。

次第にすれ違いばらばらになってゆく主人公たちの心の揺れが、
静けさの漂う行間からそっと浮かび上がってくる。

アン・ビーティが描くのは、誰にでも起こるかもしれないこと。
登場人物がどこか東京のアパートのキッチンでおしゃべりをしていたり、
井の頭線沿線の町を散歩していたとしてもちっとも違和感がない。

この本の「朝時間」は、「燃える家」の主人公たちの寝室。

天井からいくつものガラスのプリズムがぶらさがっていて、
早朝の決まった時間にまばゆいばかりの色彩に輝く……。

本書は「かわりを見つける」「ヤヌス」「白い夜に」など10編を収録。
アン・ビーティのほかの本の復刊を願っています。

Love, まっこリ〜ナ

 

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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