今日のカフェボンボンは、『この世界の女たち』。
アメリカの作家で短編の名手アン・ビーティの短編集。
静かな愛が余韻を残す、味わい深い作品です。
『この世界の女たちーアン・ビーティ短篇傑作選』
著者:アン・ビーティ/訳:岩本正恵
出版社:河出書房新社
雪の結晶のように繊細で壊れやすい、さまざまな愛の形。
淡々と語られる恋人同士や夫婦の関係。
次第にすれ違いばらばらになってゆく主人公たちの心の揺れが、
静けさの漂う行間からそっと浮かび上がってくる。
アン・ビーティが描くのは、誰にでも起こるかもしれないこと。
登場人物がどこか東京のアパートのキッチンでおしゃべりをしていたり、
井の頭線沿線の町を散歩していたとしてもちっとも違和感がない。
この本の「朝時間」は、「燃える家」の主人公たちの寝室。
天井からいくつものガラスのプリズムがぶらさがっていて、
早朝の決まった時間にまばゆいばかりの色彩に輝く……。
本書は「かわりを見つける」「ヤヌス」「白い夜に」など10編を収録。
アン・ビーティのほかの本の復刊を願っています。
Love, まっこリ〜ナ