今日のカフェボンボンは、『世界のすべての七月』。
アメリカの作家、ティム・オブライエンの圧倒的な小説世界。作家の村上春樹さんの翻訳でお楽しみください。
『世界のすべての七月』
著者:ティム・オブライエン/訳:村上春樹
出版社:文藝春秋
物語のキーワードは1969年。この年に大学を卒業した男女が30年ぶりの同窓会で再会する。
60年代後半のアメリカで青春を送った彼らもいまでは50代半ば。ラブ&ピースの輝かしい日々は遠い過去となった。友人や恋人と浮かれ騒いでいたあのころ、誰が予想できただろう。戦争、結婚、離婚、病気、友人や不倫相手の死を。
背中にさまざまな現実を背負いながら、仲間と再会することで過去と向き合い、いまの自分を見つめ直す。その過程はとても苦しいものだけれど、同じ時間を共有した者だけに通じる切実な思いがそこにある。
バーでボブ・ディランの曲に盛り上がる彼らのところに若い男がやってきて言う。60年代のめそめそしたゴミみたいな音楽をジュークボックスでかけまくるのはやめてくれ。
離婚した弁護士のエイミーが「向こう行って、死んじまいな」とやり返す。人生に若々しさが甦った瞬間、そして素敵なシーン。
原題はJULY, JULY。ぜひ7月に選びたかった本です。読書の時間がゆっくりとれる休日にはこんな長編小説をぜひ。
Love, まっこリ〜ナ