今日のカフェボンボンは、『マイ・ロスト・シティー』。
F・スコット・フィッツジェラルドの珠玉の作品集です。翻訳はまもなく発売予定の新作が話題の村上春樹氏。悲しみとやさしさを湛えたフィッツジェラルドの輝きを余すところなく伝えています。
『マイ・ロスト・シティー』
著者:スコット・フィッツジェラルド/訳:村上春樹
出版社:中央公論新社
スコット・フィッツジェラルドは、ヘミングウェイらとともに1920年代のロスト・ジェネレーションを代表するアメリカの作家です。永遠の人気小説『グレート・ギャツビー』は、映画の原作としても有名。ブラッド・ピット主演の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』も彼の短編がもとになっていました。
24歳で文壇にデビューし一躍時代の寵児となりますが、華やかな時は長くは続きません。やがて、アルコールにおぼれるようになり、失意のうちに44歳で亡くなってしまいます。本書の作品には、そんな彼の生涯を暗示する暗い予感が漂っています。
デビューの年に書かれた『残り火』と『氷の宮殿』も例外ではありません。とくに『残り火』の新婚夫婦を襲う悲劇は圧倒的で、物語を覆う悲しみのベールがずっとあとを引くかのようでした。
本書の「朝時間」は『氷の宮殿』の南部の娘サリー・キャロル。婚約者と過ごす北の町でライラックの花と甘美な春に焦がれ、故郷への想いを募らせます。
村上氏は、フィッツジェラルドの作品の素晴らしさを多くの人に知ってほしいという一心で訳したそうです。5編の短編小説と1編のエッセイを収録しています。以前ご紹介した『バースデイ・ストーリーズ』(村上春樹編訳)もおすすめです!
ちなみに、レオナルド・ディカプリオ主演の新しい映画『華麗なるギャツビー』は、6月に公開予定だそうです。どんなギャツビーが見られるでしょうか。待ち遠しいですね!!
Love, まっこリ〜ナ