【朝の恋愛小説:あしたの朝、ヨガスタジオで。Vol.48】Week 7(6)どうして一緒にいられないのだろう?

 

(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。

Week 7は、再び、主人公紗季の元恋人である真司の視点でストーリーが展開します!)

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Vol.48 Week 7 「世界で一番大切にしたいひとは?」 (6)どうして一緒にいられないのだろう?

ジャパンエキスポの3日間、僕はとにかく集中した。僕も紗季と同じように、商品に愛を。もっと信じてみようと思った。

素晴らしさをストレートに表現しようと。

ジャパンエキスポのブースは大盛況に終わった。プロダクトのクールジャパンは、一過性のものでなく、日本人マインドが築きあげてきた技術力に裏打ちされたものであることを熱弁した。その背景にあるのは、愛、であると。

我ながら青臭いと思ったが、英語でならそれができた。そして心は晴れやかだった。

無事に日程を終え、いくつか商談も成立しそうだった。いくつか老舗のデパートからも声がかかった。ボストンへの出店はGOで良いのではないかとの報告書を部長に送った。

そうして一段落ついたとき、たまらなく紗季に会いたくなった。ただただ愛おしく思った。

仕事において、紗季との連絡は取り続けていたが、事務的なやりとりにとどめていたが、僕はLINEを開き、ヨガのポーズをとる紗季のアイコンを探した。

お礼を言うだけだ、お互い労をねぎらうだけだ。そう言い聞かせながら、呼び出した。

僕はロックフェラーのビルの前にいた。10回くらいのコールのあと、紗季の声が聴こえた。

僕は不覚にも涙が出た。

「なあ、どうして一緒にいられないんだろう?ごめん、僕たちは一緒にいなくちゃいけないと思う」

僕は思ってもみないほど、素直に、表現していた。

紗季は何も答えずにいた。表情も息づかいも、読み取るすべが何もない中で、僕は決断をした。

「そっちに行くから」

紗季のため息が聴こえた。

「これから行くから」

僕はもう自分をとめられずにいた。

「わかった」

その一言が、受け入れてくれる合図なのか、ただの理解を表す単語なのか、読み取ることができなかったけれど、僕にとっては希望の声だった。

僕はパスポートがあることだけ確認して、その場で一番格安のフライトチケットをオーダーした。

(つづく)

今週のおすすめヨガ「すきのポーズ」

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Week 7のおすすめは「すきのポーズ」。

上半身の柔軟性を高めるだけでなく、内臓や神経にも刺激を与える万能のポーズ。ヨガのフローの終盤で取り入れることが多いポーズです。脊柱に刺激を与えます。

「すきのポーズ」の流れ

  1. 仰向けになり、背中をゆかにぴったりつけて、両足を胴体に近づける。
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  2. 腰を持ち上げ、足を頭上に運び、床に足先を落とす。腰があがるように手でサポートする。
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  3. サポートしている手をはずし、床にぴったりとつける。
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(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)

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★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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