(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 7は、再び、主人公紗季の元恋人である真司の視点でストーリーが展開します!)
Vol.47 Week 7 「世界で一番大切にしたいひとは?」 (5)素直さの代償
素直に生きれば、だれかを傷つける。この数週間、僕も疲れた。傷つけることも好きじゃない。
僕は、ひとりストレッチをした。
この2年、いつでも東京を近くに感じていたくて、日本のトレンドを得るために有料配信をむさぼるように見ていたのに、途端に興味が持てなくなってしまって、TVもPCも電源をつけないまま。
前の住人が置いていったLPプレーヤーのほこりをふいて、数枚あったLPを手にとった。
キャロル・キング。紗季とよく聴いた。
It’s too late
大きく深呼吸をしながら僕は、針を置いたのだ。
ほんの数日ほど、訪れた小さな東京のヨガスタジオのことを思い出し、紗季が一番好きだと言って通っていたクイーンズにある小さなヨガスタジオの名前を思い出した。
オーナーのキャシーがハグで迎えてくれた。
僕は、紗季の話をひとしきりすると、キャシーは懐かしそうに紗季のことを語ってくれた。
紗季があの時、どういう状態だったか、僕のことをどう話していたのかを知った。
「あなたを一生の、公私のパートナーだと、だからひとりで立っていなくてはいけない」
紗季の「このままではいけない」とはそういう意味だったのか。
キャシーが紗季の好きだったポーズを教えてくれた。
すきのポーズだ。
仰向けの状態からおしりを天井につきだし、足先を頭の先まで運ぶ。内臓の上下が逆転することで、流れが整う感じがするのだと言う。
確かに集中力が増す。背中の疲れもとれるようだ。
僕は仕事に集中した。何年か分の感情を使い果たした感じがして、とにかく平常心を取り戻したかった。
大量発注をもらったクライアントに挨拶に行き、納品タイミングを打ち合わせした。
唯一無二であること。最高峰の技術であること。
評価をもらったことが純粋に嬉しく誇らしく思う瞬間だ。
それから、初めてに出会った女性のプレゼンが素晴らしかったと。
その名前は、サキ。
彼女のパートナーはどういう人なのか?と仕切りに聞いてきた。
まさか、君じゃないよね?
彼女の愛は本物だから、裏切ることはないと思ったのだと言う。ここまで来て、紗季の偉大さにまた触れることになるとは。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「すきのポーズ」
Week 7のおすすめは「すきのポーズ」。
上半身の柔軟性を高めるだけでなく、内臓や神経にも刺激を与える万能のポーズ。ヨガのフローの終盤で取り入れることが多いポーズです。脊柱に刺激を与えます。
「すきのポーズ」の流れ
- 仰向けになり、背中をゆかにぴったりつけて、両足を胴体に近づける。
- 腰を持ち上げ、足を頭上に運び、床に足先を落とす。腰があがるように手でサポートする。
- サポートしている手をはずし、床にぴったりとつける。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。