(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 6は、再び、主人公の紗季がつとめる会社の事務系OLしおりの視点でストーリーが展開します!)
Vol.37 Week 6 「好きなひとに振り向いてもらう7つの方法」 (2)賢い女になること
「しおり、すごくかわいい。いま、しおりがライバルなら、わたしすぐに身を引くわ」
2人になったとき、紗季さんが言った。
「ありがとう、しおりが前向きになってくれたおかげで、わたしも自分の決めた道をしっかり歩ける」
「紗季さんのためじゃないですってば」
「わかってるって。こっちの話。でも、ありがとうって思うから」
「しおりは、素直だし、賢い。女も25を過ぎたら、素直さやかわいさだけじゃ、どうにもならないけど、しおりは両方持ってる。だから最強だよ」
「わたし、賢さなんて無縁ですよ」
紗季さんは話してくれた。
「わたしは、しおりの賢さのおかげで、仕事が本当にはかどるよ。
周りを幸せにしたいという気持ちをきちんと行動に現せることを『賢い』っていうんだと思ってる。
しおりは天才的に『賢い』けどな」
紗季さんがそんな風に見ていてくれたなんて知らなかった。じわじわと目頭が熱くなるのを、感じていた。
はじめて、対等に、そして女同士の会話をしたように感じた。紗季さんとだけじゃなくて、私自身がそんな風に女性と話をしたことがなかったのだ。
紗季さんの魅力が、鮮明になってきた。
紗季さんが言ってくれたことが、本当だったとして、やっぱり、そんな風に後輩を評価できる紗季さんは、もっと賢い。
あした、土曜日。
朝ヨガスタジオに行かない代わりに、ウチでヨガマットを広げた。
自分のペースでひとりでヨガをするのは始めてた。アレックスに頼ってばかりのヨガじゃなくて、好きなようにポーズを組み立てて、身体を整えた。
いつの間にか、自分でこれだけポーズをスムーズにとれるようになっていたんだろう。太陽礼拝のフローのあと、足のうらにしっかり力をいれて、英雄のポーズをとった。
小さい頃母親に連れられてバレエをしていた。
バレエのレッスンはちっとも好きじゃなかったけど、プリンセス気取りのわたしは、毎回レッスンにチュチュをはいていきたがったらしい。
バレエの先生の言葉が今日は蘇った。
「腰から反るんじゃなくて、胸から。胸で語るのよ」
わたしは英雄のポーズをとりながら、少し反ってみせた。胸郭全体に息をいれて、肋骨を動かして。
大丈夫、わたしは「しなやかな強さをもっているのよ」そう言い聞かせるように。
わたしは、ヨガを休んで、成田へ向かう決心をした。
(つづく)
今週のおすすめヨガ「英雄のポーズ(バレエ編)」
Week 6のおすすめは「英雄のポーズ(バレエ編)」。
ヨガの代表的なポーズで、下半身の筋肉を強化し、上半身と下半身をバランスよくストレッチできるポーズです。息を吸いながら、脚の力で地面に根をはり、両手をあげると不思議なことに、パワーが涌いてくるでしょう。
脚の筋肉をしっかり使うことで、美脚やダイエット効果も期待できます。
「英雄のポーズ(バレエ編)」の流れ
- 丹田をしっかり引き上げ、両足でしっかり床を感じながら、まっすぐに立ちます。手はバレエのアン・オーの状態にします。肩をさげ、胸は開きます。
- 右足を後にさげ、左足ひざが90度になるまで曲げます。骨盤は真正面にし、手は胸の前まで上げます。二の腕を外側にひねったような状態で引き上げます。
- 手を頭上に持ち上げます。
- 息をすいながら、腰からではなく、胸から後方に反ります。
- (番外編)前方に出ている足のひざに向かって、手を下ろします。少し前傾し胴体をひねります。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。