(この物語は…毎朝のヨガ習慣をはじめてから108日目を迎えた、ヨガが好きなOL 紗季に、久々に起こる、恋と仕事の変化。朝のヨガスタジオで巻き起こる男女のハートフルなラブストーリー。小説のストーリーに合わせ、毎週おすすめヨガポーズをご紹介します。
Week 2は、主人公である紗季のヨガ仲間であり、同じ会社の事務系OLしおり視点でストーリーが展開します!)
Vol.14 Week 2 「いつも彼女を好きな人を好きになる」 (7)不器用なわたしに出来る、ひとつのこと
「Oh My God いつの間に?」
アレックスが叫んで笑っている。わたしたちもつられて笑った。
「今日忘年会で使うグッズもってて、どこかで使えないかなってずーっとヨガの間考えてた。ごめんアレックス、オレ、無心にヨガなんてできない」
優斗さんの表情はコロコロ変わる。紗季さんは、涙を流しながら笑っていた。
桜井さんは、何も言わずに、スタジオから出ていった。
優斗さんって何者、そして紗季さんって何者・・・。
わたしは、桜井さんを追いかけた。
「真治さん、へへ、ここはヨガスタジオだからそう呼びますね」
「あいつ、すげえな」
「優斗さん、エンターテイナーですから」
「オレは、何にもできないどころか、あいつの夢の邪魔ばっかりして」
「その顔」
わたしは、真治さんの頬をぎゅっとつまんでみせた。真治さんはびっくりしたけど、わらって
「オレもピエロだな」
「ずっとピエロしているつもりですか?紗季さんはきっと、優斗さんの力を借りて、前に進みますよ、真治さんよりずっと器用に」
「いくら気持ちがあっても、あいつのベストパートナーはオレじゃないんだろうな」
「わたしも不器用なんです、こう見えて。一週間、紗季さんを見つめる顔見てました。東京にいる間だけでも、紗季さんがつけた真治さんの傷、ちょっとは癒せると思うんです」
遠回しだなって思うけど、わたしはこういう時、素直になれない。社内では、甘えん坊キャラなのに。
「東谷さん、ありがとう、僕本当に不器用だから、傷を大きくするだけだ、自分のだけならまだしも、東谷さんにも傷つける」
不器用なわたしにできることは、たったひとつ。不器用に思い続けることだけ。
(Week 3につづく)
今週のおすすめヨガ「木のポーズ」
Week 2のおすすめ「木のポーズ」はヨガの代表的なポーズ。
片脚を軸足にしてバランスをとります。しっかり地面を足裏で感じ、上半身と下半身を繋げることで、自分の身体を安定させます。最初はぐらつきますが、集中しようとするだけで自律神経のバランスがとれてくると言います。
心がざわついているとき、一本足で立ってみようとすることが、身体をととのえ、神経をととのえ、良い決断ができるかも。みぞおちの部分に手を当ててみるのもいいです。前に進むためのチャクラがそこにあります。
「木のポーズ」の流れ
- 両足に均等に体重をかけ、頭頂部までまっすぐ伸びるイメージで立つ。
- 右足の裏を、左足の付け根につけ、胸の前で合掌。この時、骨盤が左側にずれてしまわないように注意。どうしてもぐらついてしまう方は、付け根でなくても大丈夫!(けが防止のため膝以外にセット)
- 息を吸いながら、胸の前の手を天井まで回し持っていき、両手を重ねます。目線も両手先の方を見つめます。この時、首をつめてしまわないように注意しましょう。
- 息を吐きながら、両手を広げます。小指をご自身の方へ内転させてみましょう。肩が開き、胸が開いてきます。ここで呼吸を整えます。3呼吸ほどキープしたら、ゆっくり手足を元に戻し、反対側も同様に行いましょう。
(この小説は毎朝4時更新です。続きはまた明日!)
★この物語の登場人物
新城紗季(しんじょうさき/30歳)プロダクトブランド販売会社のマーケティング部につとめる。この物語の主人公。
アレクサンドル・ハミルトン(アレックス)(38歳)フランス系アメリカ人。ヨガスタジオを経営。
相場優斗(あいばゆうと/38歳)外資系投資銀行の行員。
桜井真治(さくらいしんじ/35歳)紗季と同じ会社でニューヨーク店勤務。紗季の元恋人。
東谷しおり(ひがしやしおり/25歳)ヨガ仲間のひとりで、紗季の会社の事務系OL。