今日のカフェボンボンの本棚は、『私自身の見えない徴』。
アメリカの女性作家・エイミー・ベンダーの長編小説。10歳の誕生日から「やめること」を始めた少女モナの心の痛みと愛をせつなく愛おしく描く。
『私自身の見えない徴』
著者:エイミー・ベンダー/訳:菅啓次郎
出版社:角川書店
10歳の誕生日に世界を閉じたモナ。走ることもピアノも映画もデザートも止めてしまった。誰よりも速く駆け抜けることができたのに。ボーイフレンドと愛し合うことも止めた。
止められなかったのは数学と木をノックすること。モナは心を落ち着けるために木をノックし続ける……。
やがてかたく閉ざされていたドアがほんの少しずつ開く。初めは覗き穴から見るだけ、その次はチェーンをかけたままそっとドアを開けるみたいに。
映画のシーンのように、明るい陽光の下で、モナが佇んだり影になったり、子どもと手をつないだりする。モナが輝くのを見たくて息をつめて映像を追いかけている感じがした。若い頃のロザンナ・アークエットを思い浮かべて。
こちらの小説もおすすめです。
*エイミー・ベンダー短編集『燃えるスカートの少女』
*文庫で楽しむ外国文学特集
Love, まっこリ〜ナ
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
https://asajikan.jp/author/14/