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せつなく閉じた世界のドアをノックして『私自身の見えない徴』

 

今日のカフェボンボンの本棚は、『私自身の見えない徴』

アメリカの女性作家・エイミー・ベンダーの長編小説。10歳の誕生日から「やめること」を始めた少女モナの心の痛みと愛をせつなく愛おしく描く。

20150905
私自身の見えない徴
著者:エイミー・ベンダー/訳:菅啓次郎
出版社:角川書店

10歳の誕生日に世界を閉じたモナ。走ることもピアノも映画もデザートも止めてしまった。誰よりも速く駆け抜けることができたのに。ボーイフレンドと愛し合うことも止めた。

止められなかったのは数学と木をノックすること。モナは心を落ち着けるために木をノックし続ける……。

やがてかたく閉ざされていたドアがほんの少しずつ開く。初めは覗き穴から見るだけ、その次はチェーンをかけたままそっとドアを開けるみたいに。

映画のシーンのように、明るい陽光の下で、モナが佇んだり影になったり、子どもと手をつないだりする。モナが輝くのを見たくて息をつめて映像を追いかけている感じがした。若い頃のロザンナ・アークエットを思い浮かべて。

こちらの小説もおすすめです。
エイミー・ベンダー短編集『燃えるスカートの少女』
文庫で楽しむ外国文学特集

Love, まっこリ〜ナ

*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
https://asajikan.jp/author/14/

 

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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