今日のカフェボンボンは、注目の作家エイミー・ベンダーの斬新でエロティックな短編集。
現実と空想がとけ合う16のショート・ストーリー。さまざまな愛のかたちをファンタジックに描き、各国で絶賛された作品です。
『燃えるスカートの少女』
著者:エイミー・ベンダー/訳:菅啓次郎
出版社:角川書店
エイミー・ベンダーの描く小説は誰のものにも似ていない。歪んでいるのにグロテスクじゃない、水の中で屈折した光を見ている感じなの。
小鬼と人魚、火の手と氷の手をもつ少女たち、人間から逆進化する恋人。風変わりなストーリーの向こうに、心がひりつく愛の姿が透き通るように見えてくる。
戦争から帰ってきた夫は、唇をなくしていた。唇のあったところについているのは、おしゃぶりのようなプラスチックの円盤。夫のたどたどしいしゃべり方と円盤の冷たい感触に、妻は泣き出しそうになりながら考える。
最後の本物のキスが奪われてしまった。
戦争の悪夢にうなされる夫。妻はそばで眠れない夜を何日も過ごす。この物語は「溝への忘れもの」。妻の悲しみと葛藤、夫への深い想いを切なく柔らかく描きます。
独特の魅力にあふれた奇妙で透明な世界を、ひとつずつ味わってみてください。
本のお供には、フルーツ・ティーをいかがですか。果物の香りのハーモニーは、エイミー・ベンダ−の短編の味わいに似ています。
Love, まっこリ〜ナ