今日のカフェボンボンは、人と犬の愛情が胸を打つ『犬の話』。
向田邦子、武田百合子、伊集院静、江國香織、椎名誠、佐野洋子ら、20人の素晴らしい書き手たちによる犬のエッセイ・アンソロジーです。
『犬の話』
編:角川書店
出版社:角川書店
人と犬とのつき合いはどこか天真爛漫で、愛情表現もストレート。愛する動物とともに暮らすことの喜び、犬への深い愛情が率直に語られています。そのぶん別れはあまりにもせつない。泣けてくるので電車の中では読めません。
たとえば、鴨居羊子の『母と鼻吉の死』。ある朝、犬はゆっくりといたわるように著者の頬をなめる。その日のうちに犬は亡くなってしまう。著者は、死んだ犬の鼻面に頬ずりしながら朝の静かな犬の接吻を思い出し、あのときもう一度接吻すればよかった、と思う。
登場する犬の種類はさまざまですが、私は、サムライのように誇り高い紀州犬に心惹かれました。和歌山県出身の私の祖父が、かつて紀州犬を飼っていたと聞いたことがあるからかもしれません。
表紙カバーの小倉遊亀さんの絵も、この本が好きな理由のひとつです。小さな子とすぐ後ろにくっついて歩く犬。懐かしい日本の夏の風景とともに、遠い記憶がよみがえります。
Love, まっこリ〜ナ
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