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希望を持って生きたくなる本

 

BONBON40

今日のカフェボンボンは、心が温かいもので満たされる小説を。

おすすめは、宮下奈都の『遠くの声に耳を澄ませて』
注目の人気作家が描く、旅をテーマにした短編集です。

20121113

遠くの声に耳を澄ませて
著者:宮下奈都
出版社:新潮社

実際には訪れたことのない異国の地が、忘れえぬ鮮やかな印象を残すこともある。

主人公たちは、祖父から聞いた話や、息子から時折届く絵はがきで、
あるいは、出張先で耳にした懐かしい方言の響きのなかで過去を旅する。

くさりのようにつながる12の短編は、読み進むうち広がりと厚みを増し、
静かな日常が濃密な空気に包まれていく。

とくに心に残るのは、冒頭の作品「アンデスの声」。語り手は地方でOLとして働く“私”。
遠い国の赤い花の光景が、病いに倒れた祖父と主人公とをつないでいきます。
読み終えて涙が止まりませんでした。

旅は滞っているものを流し去り、前へ進むための小休止なのかもしれません。
そう、たぶん、メロディを奏でる前の休符みたいなもの。

ああ、希望を持って生きていきたいな。この本にはそう思わせる力があります。

本書の「朝時間」は、旅先で迎えるすがすがしい朝。
本のお供には、作品のひとつにちなんで、ミルクティーをいかがですか。

宮下奈都の作品は、以前ご紹介した恋愛小説アンソロジー『コイノカオリ』にも収められています。こちらも心にしみる作品です。

Love, まっこリ〜ナ

 

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朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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