今日のカフェボンボンは、『月の裏側』。
スーパームーンの夜。月をタイトルした物語をどうぞ。
『月の裏側』
著者:恩田陸
出版社:幻冬舎
物語の舞台は九州の水郷都市。
この町で相次いで失踪事件が起きる。
失踪者たちは突然戻ってきたが、みな一様に記憶を失っていた。
事件に興味を持った元大学教授と教え子らは、
梅雨時の水郷の町に集い、事件の解明に乗り出すのだが……。
運河が縦横に走る町は、九州の柳川がモデルになっている。
主人公たちが不可解な事件に巻き込まれていく得体の知れなさが、
何とも無気味でストーリーの面白さでもあるけれど、
小説の最大の魅力は、舞台の町そのものだと思う。
町じゅうにめぐらされた堀割を下る舟。
緩やかな水の動きと時間が止まったような空気。
じっとりとした濃密な気配とノスタルジックな風景が、
本を読み終えたあとも体にまとわりついてくる。
表紙カバーがまた小説の雰囲気にぴったり。
絵はスティーヴン・キング作品などの挿画でおなじみの藤田新策さんです。
Love, まっこリ〜ナ