大晦日のカフェボンボンは、心躍る山の話が満載のエッセイ。
イラストレーター・沢野ひとしの『山の帰り道』をお届けします。少年時代から続く山への憧れと熱い気持ちが胸にじんとくる画文集です。
『山の帰り道』
著者:沢野ひとし
出版社:本の雑誌社
山の帰り道。なんて心安らぐ言葉だろう。
山道を下る時には遠く見えた町の灯りが、だんだん近づいてくる。「山登りは登る前より下山のときのほうが心が満ち足りている」と語る著者は、山里に下りて山を振り返るのが好きだといいます。
少年時代から山に魅せられ、国内外の山に登ってきた沢野さん。山への憧れは少しも薄れることなく、いまも丹沢や南アルプスの山々に登ります。
ただ、若い頃と変わったことも。慎重に山歩きをするようになったし、山登りを教えた息子とは立場が逆転。何より、山の魅力を最初に教えてくれた兄の死が、沢野さんを変えました。山への憧憬、死を覚悟した山の大事故、愛用の道具のこと……。山で過ごした忘れがたい日々がよみがえります。
沢野さんの目標は多摩丘陵の自然を絵に描くこと。緑が多く残る町田市郊外に住み、愛犬と散策を楽しむようすは子どもの遠足のよう。本書は町田の奥深さも教えてくれます。
山の「朝時間」は、冬山で見る「かぎろひ」。
朝日の神々しさにザックの重さを一瞬忘れるそうです。
“中央線のあずさで飲む酒は北アルプスの雪解けの味がする。”その山に登った者だけが知る唯一無二の味。世の中にはそんなことがたくさんあるのだとしみじみ感じました。
そして…、みなさん、いつもカフェボンボンを読んでいただき、本当にありがとうございます。
よいお年をお迎えくださいね!
Have a great happy new year!
Love, まっこリ〜ナ
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