平均10.7万円…女性の年金受給額から見えてくるリアルな老後と対策法

 

おはようございます。ファイナンシャルプランナーの稲村優貴子です。
この連載は、『朝のスキマ時間に学ぶ♪家計管理・お金の基本』というテーマでお届けします。

老後の生活費、年金だけで足りるのか。そんな不安を抱える女性は少なくありません。
実際に、現在年金を受け取っている女性たちの金額分布を見てみると、その現実がより鮮明になります。

女性の半数が10万円以下!年金のリアルから考える資産形成

厚生労働省の最新データ(令和5年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」)によると、女性の厚生年金受給額(月額)は以下のように分布しています。

月額年金額 割合(概算)

(1) 〜7万円未満:約20%(国民年金のみ、または短期間の加入者)
(2)7〜10万円:約30%(パート勤務や短時間労働が中心)
(3)10〜13万円:約25%(フルタイム勤務経験あり)
(4)13〜16万円:約15%(長期就労・正社員歴あり)
(5)16万円以上:約10%未満(管理職・高収入層など)

平均額は約10.7万円。これは生活費の目安とされる月20万円前後には届かない水準です。

悩んでいる女性2人

つまり、多くの女性が年金だけでは暮らせない現実に直面しているのです。

女性の年金が少ない理由

理由は主に以下の3つです。

  • 非正規雇用や短時間労働が多い
  • 出産・育児によるキャリア中断
  • 第3号被保険者(扶養内)期間が長い

正社員で働くと厚生年金がプラスされますが、扶養内で働くと国民年金のみの給付となるため、年金額に差が生じます。

今からできる資産形成の第一歩

【1】家計の見える化でムダを発見

まずは家計簿アプリなどで毎月の支出を把握。固定費の見直しやサブスク整理だけでも、月数千円の節約につながります。
浮いたお金は資産形成に回しましょう。

【2】少額からのつみたて投資

iDeCoやつみたてNISAなど、税制優遇制度を活用すれば将来の資産形成が可能です。「長期・分散・積立」が基本のキーワードです。

【3】「働き方」の再設計

可能であれば、厚生年金に加入できる働き方へシフトすることで、将来の年金額を底上げできます。

【4】「年金の繰下げ受給」も選択肢に

65歳以降も働ける、年金に頼らず生活できる場合は、年金の受給開始を遅らせるのもひとつの手。
1ヶ月遅らせるごとに受給額が0.8%増え、最長10年繰り下げれば最大84%アップが可能です。

笑顔の女性二人

まとめ

年金の分布を見ると不安になるかもしれません。
でも大切なのは、「今からできること」を1つずつ積み重ねていくこと。

未来の自分に「ありがとう」と言ってもらえるように、今日から少額でも資産形成を始めてみましょう。

 

この記事を書いた人
Nice to meet you!

朝のスキマ時間に学ぶ♪家計管理・お金の基本

Written by

稲村優貴子(ファイナンシャルプランナー)

2001年FP資格を取得し独立。2006年から6年間日本FP協会鳥取支部長。現在は Life For You 代表として相談・講演・執筆・メディア出演業務を行っている。相談件数は通算3000件以上。TBSテレビ『マツコの知らない世界』監修、日経WOMAN・北海道新聞・週刊ダイヤモンド等への記事提供、HBCテレビ『イチオシ!』出演等。得意分野はライフプラン、iDeCo、保険、年金、家計節約、不動産。
著書:『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』(河出書房新社)
資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、2級心理カウンセラー、野菜ソムリエ、ヨガインストラクター(RYT200)

★毎月第2金曜日16~17時 82.5 FM NORTH WAVE(ノースウェーブ)のラジオ番組「Ashirias1h(アシリアスワンエイチ)」内『教えてゆきこ先生』というコーナーを担当中(2023年4月現在)
連載記事一覧

今日の朝の人気ランキング