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嘘に追い詰められて。ほんの出来心の代償を描く小説『身の上話』

 

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『身の上話 新装版』

面白い小説をじっくりと読みたくなる季節がやってきました。秋のはじめの読書にオススメしたい一冊です。主人公は書店員の古川ミチル。彼女のほんの出来心が人生を徐々に狂わせていく。直木賞作家・佐藤正午の小説、新装版です。

身の上話-新装版
身の上話 新装版
著者:佐藤正午
出版社:光文社

古川ミチルは職場の同僚に頼まれて宝くじを買う。そこから嘘が重なってミチルは思いもよらない道へと足を踏み入れていく。ミチルがどんな女なのか、出来心で何をしたのか。それは何も知らないで読んだ方がきっと面白い。

ミチルを語るうえでキーワードとなるのは「放心」。同じ場所に座って何時間でもそうしていられる。語り手は彼女の放心を「悪い癖」と言う。彼女を突き動かすのも放心だし、彼女のなかにいつもあるぽっかりとした空白の正体も放心なのかもしれない。

ミチルのまわりにいる男も女も本性が見えづらいんですよね。自分の身近な人の正体に頓着しないようなミチルもどこか得体が知れなくて、読み進むうちうっすら寒くなってきます。だからこそ次の展開が知りたくてたまらない。小説の面白さを知る一冊でもあります。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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