おはようございます。好印象マナー講師の林慶子です。
ひとつのテーマを1週間意識して過ごすことで、マナーや心遣いが自然と身に付く!そんな連載コラムを毎週火曜日にお届けしています。
今週のテーマ:日本語「とんでもない」の正しい敬語表現
誰かにお礼を言われたり、褒められたりした時に、謙遜して使うことばに「とんでもない」があります。
このことばを目上の方に使う時、みなさんはどのように言っていますか?
「とんでもない」の正しい敬語表現とは?
○とんでもないことでございます
○とんでもないことです
○とんでもないです
△とんでもございません
△とんでもありません
…など、いろいろな表現がありそうですよね。
実は「とんでもない」は「とんでも+ない」ではなくて、「とんでもない」でひとつの形容詞。そのため、「ない」だけを変えることはできないことばなのです。
「とんでも」が、ある・なし、ではないんですね。「みっともない」ということばと同じです。
ですので、本来であれば
とんでもない・ことでございます
とんでもない・です
が正しい使い方です。「とんでもございません」は語法としては間違いとされています。
「とんでもございません」は使っちゃダメ?
…とは言うものの、現在では「とんでもございません」が一般的に使われていることから、2007年に文化審議会が発表した「敬語の指針」(pdf)には
『「とんでもございません(とんでもありません)」は、相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消す時の表現であり、現在では、こうした状況で使うことは、問題ないと考えられる』
と記されています。
(参考:文化庁ホームページ内「敬語の指針」)※pdfが開きます
そして、NHK放送文化研究所のホームページでは、「とんでもありません(とんでもございません)」という言い方はおかしいのか?という問いに対し
「間違い」だという人と、「必ずしも間違いではない」という人がいます。少なくとも、単純に「誤用」として言い切ってしまえるようなものではないことは、確かだと思います。
と回答し、さまざまな例をつけて解説しています。
(参考:NHK放送文化研究所ホームページ内「「とんでもありません(とんでもございません)」という言い方は,とんでもない?」)
私が客室乗務員として働いていた時、お客様へ「とんでもないことでございます」とお返ししたところ、「久しぶりに気持ちの良い日本語を聞いたよ」と仰っていただいたことがあります。
現在では良しとされていることばでも、昔から正しいとされていた表現を知っているのであれば、そのことばを選び、使う。
そうすることで、信頼度も増し、印象もグッとあがるかもしれません。
もちろん、ご自身の判断でよいのですが、敬語も、敬語ではないことばも、日本語を正しく使おうという意識はもっていたいですね!
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それでは、また次回!Have a ごきげん day!
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