朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『夢十夜』。
漫画家の近藤ようこが文豪の名作を描いた本が文庫化されました。漱石の不思議な夢の世界を堪能してください。
『夢十夜』
原作:夏目漱石/漫画:近藤ようこ
出版社:岩波書店
十夜の夢はどれも得体がしれない。毎晩のようにこんな夢を見続けたら寝込んでしまいそう。それでも近藤ようこが描く女や男なら会ってみたくなるのです。
最初の夢の「第一夜」で、ベッドに横たわる女が「もう死にます」と男に言う。そして「死んだら埋めてください」「大きな真珠貝で穴を掘って」「百年私の墓の傍に座って待っていて下さい」と訴えかけるのです。「待っている」と答える男の顔が女の黒い瞳に映っています。女の願いどおりに男が真珠貝で墓を掘るシーンに魅入られてしまう。月の光に包まれた女はただ眠っているように艶やかで美しい。
絵にはしんとした静けさが漂っている。だからこそよけいに、恐怖や後悔に苦しむ登場人物の心のうちがくっきり見える気がして。漱石の奇怪な夢の世界がひたひたと、じわじわと忍び寄ってくる。
著者の近藤ようこさん描き下ろしの「第十一夜」も収録されています。文豪の珠玉の作品を漫画で楽しめる贅沢な一冊をどうぞ。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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