「ミニマル」や「シンプル」な暮らしを提案する著書が人気の主婦ブロガー・みしぇるさん。念願だったという“無印良品の商品担当者”と直接お話する機会がここに実現しました。お相手は寝具カバーなどファブリックの商品を担当している生活雑貨部ファブリック担当MD開発・山谷充紀さんと生活雑貨部企画デザイン室・三重野陽子さんです。3人の弾む会話から「なぜミニマルに暮らす人が、無印良品を選ぶのか」がわかりました。
週1回の無印良品で暮らしのモチベーションアップ
右から、みしぇるさん、デザイナー・三重野さん、ファブリック担当・山谷さん。場所は「無印良品有楽町」のCafe&Meal MUJI
みしぇる:うちは転勤族で引っ越しが多いので、余計なモノを持たないミニマルな暮らしを心がけているのですが、そんな我が家にあるモノの8割が無印良品なのです。週1回は近所の無印良品へ出かけて、ディスプレイを見ては、暮らしや収納などのアイデアをもらってモチベーションを上げています。おふたりはいつから無印良品で働いていらっしゃるんですか?
山谷充紀(以下、山谷):私が良品計画に入社したのは14年も前になります。関西にある6店舗で店舗スタッフや店長を経験した後、自由が丘の店長になり、2年前にファブリックの商品開発担当者になりました。初めて手がけた商品は「綿デニム座るパイプクッション」です。
みしぇる:持ってますー!カバーに取っ手がついていて、持ち運べるのが便利ですよね。デザイナーの三重野さんは?
三重野陽子(以下、三重野):私は美術大学でテキスタイルデザインを学び、卒業後は同大学で助手をしていたのですが、3年前に良品計画に入社。入社以来ファブリックのデザインを担当しています。
みしぇる:三重野さんがデザインされた寝具カバーの中で、一番のお気に入りを教えてください。
三重野:どれにも思い入れがあって迷うのですが、ひとつ挙げるなら「麻綾織の寝具カバー」ですかね。ストライプ柄もチェック柄も、糸の色を変えて出している柄ではなく、織り方の違いで表れる柄なのですよ。
みしぇる:無印良品のリネンっていいですよね。私、大好きで、こちらも気になっているのですが、今は定番の「麻平織の寝具カバー」のオフ白を使っています。寝具カバーには、フランネルやTシャツ、ジーンズなど洋服の生地を転用しているものも多いのですね。
山谷:そうです。でも、洋服の生地をそのまま転用するのではなく、寝具カバーの肝ともいえる肌触りを考えて、糸を細くしたり、もみ洗いしたり、起毛をかけたりして、風合よく仕上げています。
みしぇる:そういえば、寝具カバーはここ3年くらい買い替えていないかもしれません。無印良品の寝具カバーはくたびれないですよね、生地が。
山谷:生地の強度をはじめ無印良品には独自の検査基準があって、ただ肌触りがよくてもダメで、長く使ってもらうための厳しい検査基準をすべてクリアしなければ商品化できないのです。
三重野:たとえば洗ったらすぐ毛玉ができてしまうものは商品になりません。今、販売されているものは、厳しい検査基準をすべてクリアしたものだからこそ長くお使いいただけるのです。
コーディネートしなくてもコーディネートできちゃう
「オーガニックコットンフランネル」と「あったかファイバーベロア」のコーディネートもしっくり
みしぇる:ムジラーとしては、定番はもちろん季節商品のチェックも欠かさないのですが、昨年からの秋冬商品に加わった「オーガニックコットンフランネルの寝具カバー」も素敵ですよね。うちの3兄妹に違う色で買い揃えたら喜びそう。
三重野:グレーチェック、赤チェック、グリーンチェック、ネイビーチェックの4色展開なのですが、赤チェックの地の色をネイビーチェックの柄の部分にも使用するなど、それぞれの色をどこかに必ずリンクさせてあるので、色違いを並べても統一感が出せるのですよ。
みしぇる:あ!本当だ。いわれなかったら気づかなかった。すごく細やかな気遣いですね。
三重野:同じ素材(シリーズ)の商品ばかりではなく、まくらカバー・掛ふとんカバー・敷ふとんカバーをそれぞれ違う素材(シリーズ)から選んでも、組み合わせた時のなじみがいいようにあらかじめ計算してデザインしています。まくらはやわらかい肌触りの天竺がいいけど、掛ふとんはしっとりしたベロアがいいとか、個人の好みってありますよね。肌の直感とその時にピンとくる色を選ぶだけで、自然とコーディネートできるようになっているのです。
山谷:でもその話って、ファブリックに限った話ではないのですよ。ファブリックと家具もデザイン段階で両者の兼ね合いを計算してデザインしているから、ファブリックや家具をインスピレーションで選んでも、お部屋のコーディネートがバランスよくまとまる。
三重野:それに洋室・和室を問わず、どんな部屋にもなじみがいいデザインになるように、多くの人に愛されるようなデザインを心がけています。
「お客様の暮らしになじむデザイン」を心がけるというデザイナー・三重野さん
みしぇる:確かに、いわれてみたらそうですね。品質はもちろん、無印良品での買い物に失敗がないのは、コーディネートのしやすさかもしれない。転勤で海外暮らしの経験もあるのですが、無印良品のファブリックや家具はアメリカの洋室にもしっくりきていましたよ。
みしぇるさんが最近買って気に入っているモノ
みしぇるさんが最近購入したお気に入り商品の前で、なぜか嬉しそうな山谷さん。その理由は…
山谷:私たちよりも詳しいかもしれない…というほど、無印良品を知り尽くしているみしぇるさんが、ここ最近買ったものの中で、「これは!」と思ったヒット商品を教えてもらえますか?
みしぇる:2ヵ月前くらいに夫のために「体圧分散ウレタンマット・やわらかめ」を買ったのです。ベッドのマットレスが合わないのか、夜ぐっすり眠れない上に、朝起きた時の肩こりにも悩まされていて。でも、これを敷いて寝るようになってから夜はぐっすり。肩こりもなくなったといって喜んでいます。
山谷:えぇ話や…(しみじみ)。
三重野:ふふふ。「体圧分散ウレタンマット」は、山谷さんが開発した商品なのですよ。よかったですね、山谷さん。
店長経験の豊富さから、お客様が求める商品を生活者視点で考えている 商品開発・山谷さん
山谷:ありがとうございます!この商品は思い入れが強い商品です。
実は日本では、ふとんの年間廃棄量が非常に多く、経年劣化などで寝心地が悪くなったら買い替えを考えると思いますが、簡単に「捨てて買い替える」という考えを変えたかったです。
私も自宅で10年使い続けているベッドがあり、最近体に合わなくなったので買い替えを考えていたのですが、この「体圧分散マットレス」を使うことで、もうしばらくこのベッドを大事に使ってみようと思うようになりました。
この商品は、ふとんやベットマットの上に敷くことで寝心地を調整できるので、今まで使っていた愛着のある寝具を長く使っていただくことができます。「買い替える」ではなく、「付け加えて、長く愛用してもらう」事を広げるための商品です。
他社の商品は2万円~5万円の商品が多い中、1万円台~(※SSサイズ)という価格の中で思い描いた寝心地や機能を実現するのは大変でしたが、とてもクリエイティブで楽しい作業でした。
みしぇる:普段使っている商品に込められた「想い」を聞けてうれしいです。これからも長く大切に使っていこうと思いました!
こうやって寝具カバーを見させてもらうと、改めてオーガニックコットンの商品が多いですよね。オーガニックコットンなのに、お値段がそんなに高くないから購入しやすくて助かってます。
三重野:無印良品のものづくりの基本は、「生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくること」です。そのために、商品開発する上で3つの視点を大切にしています。「素材の選択・工程の点検・包装の簡略化」です。この結果、質のいい商品を最適な価格で提供できていると考えてます。発売後の商品でも細かな見直しを行ってまして、定番商品になっているものも風合い改善を繰り返したり。起毛加工の毛足の長さを少しだけ長くして、ふっくらした風合いにさせたりとか。
みしぇる:お話をうかがって、ますます無印良品が好きになりました。今後の新しい取り組みとか教えてもらえたりしますか?
三重野:パジャマを作っているインナーチームと連動して、パジャマと寝具カバーの相性のよさを考えているところです。双方の相性が寝心地や無意識の寝返りなど睡眠と深く関わってくると考え、担当を越えた取り組みでよい睡眠への環境作りを研究しています。
みしぇる:わぁ!またまた無印良品で暮らしが豊かになるのですね。今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
山谷・三重野:こちらこそ!ありがとうございました!
【3人のお話にでてきた無印良品】
通気性のよいパイプを中材に使用。クッション性がありながら、しっかりとした座り心地です。
使うほどにやわらかさと風合いが増すリネンを使用。吸湿性がよく一年を通して使うことができる。
上質なフランス、ベルギー産のリネンを使用した平織生地のカバーリング。やわらかく丈夫で、吸水性・発散性に優れています。
ネルシャツの産毛のようになめらかな起毛の生地を寝具カバーに。ずっと触れていたいふっくらとした寝心地です。
体圧を分散する通気性のよいウレタン。ベッド用マットレスや敷ふとんの上に敷いて使用できる。
◎今回、お話をうかがった方
主婦兼人気ブロガー・みしぇるさん
1978年、山形県のお寺に生まれる。国際結婚し、アメリカ人の夫と3人の子どもたちとハワイ、神奈川県葉山、カリフォルニアなど様々な土地で暮らしてきた。著書に『シンプル生活55のヒント 家事がラクになる、心が軽くなる』、『ミニマルに暮らすwith無印良品』ほか。
vol.04は朝時間.jpの連載でもおなじみ、色のひと(R)七江亜紀さんをゲストに、カーテンやラグの選び方について語ってもらいます。12月19日(月)公開予定です。お楽しみに!
【心地よい朝を迎えるための部屋づくり・インテリア連載】
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