今日のカフェボンボンは、『マイマイ新子』。
9歳の少女の輝く一年を描いた高樹のぶ子の傑作小説。アニメ映画『マイマイ新子と千年の魔法』の原作です。
『マイマイ新子』
著者:高樹のぶ子
出版社:マガジンハウス
9歳の少女・新子にはつむじが2つある。1つは頭のてっぺんに、もう1つは額の真上にある。
額のつむじがマイマイ。マイマイは新子の気持ちに合わせて立ち上がる。暖かくなったりムズムズしたりする。新子はとびきり元気な女の子だから、マイマイもびんびん跳ね上がる。
舞台は昭和30年。6人家族の新子の家は、田んぼや畑の真ん中にある。山から流れる小川の上には、おじいちゃんが作ってくれた、藤づるで編んだハンモックがある。ここはおじいちゃんと新子2人だけの秘密の場所。妹にも教えない。
友達との秘密もある。防空壕を勇ましく探検したり、映画館に忍び込んだりする。これは大人には言えない。だけどいつも秘密は秘密のままで終わらなくて、新子の心にせつない気持ちを残すのだ。
昭和30年は、高度経済成長の始まりの年。戦争の影はまだ色濃く残っているけれど、時代の変化を予感させる出来事が新子のまわりにも起きる。新子もそういう気配を感じながら生きている。
でもまだもう少し、新子は新子のまま、天真爛漫な9歳の少女でいられるだろう。麦畑でかくれんぼして、藤づるのハンモックで昼寝をして……。
家族の絆、子ども同士、さまざまなつながりのなかで、喜んだり怒ったりしながら成長する、心豊かな少女。新子に出会えてよかった。
文庫本はこちらです。
『マイマイ新子』
著者:高樹のぶ子
出版社:新潮社
Love, まっこリ〜ナ
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
https://asajikan.jp/topics/cafebonbon/
朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』はこちら>>