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桐野夏生『抱く女』あたしの居場所はどこにある?心揺さぶる青春小説

 

今日のカフェボンボンの本棚は、『抱く女』

桐野夏生の最新作は、1972年の吉祥寺が舞台。激動の時代を生きる20歳の女子大生・直子を描き切る。

恋とジャズと自棄っぱち。熱くてヒリヒリする青春小説の誕生です。

20150715

抱く女
著者:桐野夏生
出版社:新潮社

“この主人公は、わたし自身だ。”書店に貼られたポスターのコピーとモデルに目を奪われた。

写真は学生時代の作者自身。20歳の桐野夏生のクールな瞳は何を見つめているのだろう。その答えがこの小説の中にある。

大学にほとんど行かず、毎日を無為に過ごす直子。ジャズ喫茶と雀荘に入り浸り、男子学生たちと夜を共にする。学生運動に息苦しさを感じ、「ああ、消耗する」が口癖だった。

今はこうして怠惰に過ごしてやれ。自棄な気分に突き動かされ街をさまよう。行き場所はどこにもないとわかってるのに。だから、誰にも心を許さなかった。そんな彼女が初めて本当の恋を知った時……。

大事なものだけをしっかりつかみたい。だけど「そもそも大事なものって何。」直子の切ない問いかけが心に突き刺さります。

1972年の吉祥寺の街を想像しながら読みました。ジャズの強烈なうなりに包まれて当時の空気を嗅いだ気がします。

Love, まっこリ〜ナ

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https://asajikan.jp/author/14/

 

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Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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