今日のカフェボンボンの本棚は、『抱く女』。
桐野夏生の最新作は、1972年の吉祥寺が舞台。激動の時代を生きる20歳の女子大生・直子を描き切る。
恋とジャズと自棄っぱち。熱くてヒリヒリする青春小説の誕生です。
『抱く女』
著者:桐野夏生
出版社:新潮社
“この主人公は、わたし自身だ。”書店に貼られたポスターのコピーとモデルに目を奪われた。
写真は学生時代の作者自身。20歳の桐野夏生のクールな瞳は何を見つめているのだろう。その答えがこの小説の中にある。
大学にほとんど行かず、毎日を無為に過ごす直子。ジャズ喫茶と雀荘に入り浸り、男子学生たちと夜を共にする。学生運動に息苦しさを感じ、「ああ、消耗する」が口癖だった。
今はこうして怠惰に過ごしてやれ。自棄な気分に突き動かされ街をさまよう。行き場所はどこにもないとわかってるのに。だから、誰にも心を許さなかった。そんな彼女が初めて本当の恋を知った時……。
大事なものだけをしっかりつかみたい。だけど「そもそも大事なものって何。」直子の切ない問いかけが心に突き刺さります。
1972年の吉祥寺の街を想像しながら読みました。ジャズの強烈なうなりに包まれて当時の空気を嗅いだ気がします。
Love, まっこリ〜ナ
*朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』連載一覧はこちらです。
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