【朝の恋愛小説:やっぱり朝は二度寝が好き 】Vol.9 作品に心が現れるって本当?

 

Vol.9 作品に心が現れるって本当?・イメージ

ひさびさに訪れたこんな瞬間に、ときめかなったわけではない。

今まで出会ったこともない人種の人だからか、4つも年下の人だからか、はたまた年のせいなのか。大声で叫ばれても、その男性に惹かれはしない。

「何言ってるんですか、わたしはアラサーですよ。窓口でお待ちしてますから!お疲れさまでーす」

と口早に言うと、駆け足で教室へ入った。クールに決めたつもりでも、心はちょっと乱れた。

せっかくのローズのアレンジメントなのに、左右ボリュームのバランスが悪い。

「左側が一本多いかな、これでどう?」

先生は、一本左側からローズを抜いて整えてみせた。

「左側にボリュームが多くなるのって、恋してるからなんだよ」

「えっ?」

「やだー図星?」

ケタケタと笑う先生に初めてイライラした。こんな年にもなって、人前で真っ赤になる自分がひどく恥ずかしい。

もう、新鮮なものなど手に入らないと思っていたのに。少しフレッシュな自分を思い出させてくれた裕太には感謝した。

ローズのアレンジメントを片手にスマホを取り出すと、LINEに赤いマークがアピールしてくる。

(この小説は、毎日更新です。続きはまた明日!)

 

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物語の登場人物

立川萌乃(もえの) 28歳

静岡出身。銀行の一般職。趣味で、フラワーアレンジメントをならう。早起きできる朝美人に憧れている。

新城雪乃(ゆきの) 28歳

萌乃と同じ高校時代からの友人。なんでも出来る格好いい人物として萌乃からは頼りにされている。

藤井倫太郎(りんたろう)28歳

萌乃、雪乃と同じ高校のサッカー部出身で東京の大学へ進み、留学。外資系投資銀行につとめるいわゆるエリート。

木村ことみ 28歳

萌乃の同期で、同じ支店にずっと勤めている。常識人であり現実主義者。

柳原誠士(せいじ)28歳

萌乃とことみの同期入社である、総合職の銀行マン。

近藤裕太(ゆうた)24歳

萌乃がフラワーアレンジメントの教室の隣にあるパーソナルトレーニングスタジオのトレーナー。

 

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朝の小説シリーズ

毎朝読みたい小説シリーズ「やっぱり朝は、二度寝が好き。(完)」「シンデレラの朝ごはん(完)」
Written by

石垣モンブラン

幼少期から創作好きで、3歳児で替え歌発表(笑)、小学時代に学習発表会の脚本、絵本を制作、中学から新体操やダンスの振付をはじめる。現在は、小中学生のミュージカル劇団「リトル・ミュージカル」主宰。台詞をこどもたち全員で創るという他にはないミュージカルの脚本原案、作詞作曲、振付を担当。だけど大人の恋愛模様が大好き。ライトノベルや映像脚本も執筆し続ける。

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