世田谷文学館に「幸田文」展を観に行ってきました。
世田谷文学館は学芸員の愛情溢れる展示が心を和ませ、
作家の良さを引き出す展示の上手さに、いつも脱帽します。
幸田文さんは、幸田露伴さんの娘さんです。
文学者の父に育てられた、文さんの豊かさと葛藤が混じり合いながら、
最終的には、恵まれた生い立ちを自分の物にしているあたり、人としての強さを感じました。
さまざま共感できた部分はあったのですが、
中でも、“着る”ことについて
これ以下では苦になり、これ以上なら楽と考えなければちがう
と表現しているのには、驚きました。
私は常々、食べることについて、同じように思っていたからです。
少なすぎては栄養不足だし、多すぎても胃が重くなるので、
日常の食事を贅沢はしないけど、必要最低限は摂ろうと決めているのです。
最小限の食材をいかに美味しく食べるかを考えたとき、
料理の必要性を感じたのです。
幸田文さんの作品は1冊しか読んだことがないので、これから読んでみようと思います。
ちなみに文さんの娘さん、青木玉さんの文章も素晴らしく、展示の奥行きを出していました。
文学館の1Fでは所蔵コレクション展、作家の旅についての展示があり、
そちらもとても面白いです!
北杜夫さんの旅の必需品や、スーツケースなどは見物でしょう。
森鴎外さんの娘さんが、与謝野晶子さんから源氏物語を習っていたとか、
その付き合いから贈られた餞の言葉とか、裏事情の覗き見が好きな私は、
ワクワクしながら鑑賞してきました。