今日のカフェボンボンは、『少女ソフィアの夏』。
フィンランの夏の小島を舞台にした祖母と孫娘の物語。ムーミン童話の作者トーベ・ヤンソンが愛情を込めて描いた美しい作品です。
『少女ソフィアの夏』
著者:トーベ・ヤンソン/訳:渡部翠
出版社:講談社
舞台はフィンランド湾に浮かぶ岩の島。ソフィアとパパとおばあさんの3人は、この島でひと夏を過ごします。ひと夏といっても初夏から晩夏までのほぼ4か月間を「夏の家」で暮らすのです。
母親を亡くしたばかりのソフィアは、風変わりなおばあさんと強いきずなで結ばれていきます。年が七十も離れているのに、おばあさんとソフィアは友だちのように対等です。森や海で秘密めいた遊びをし、思うままに怒りをぶつけ合ってけんかする。
こんなにも率直な友情は、島の素朴な暮らしのなかでこそ生まれるのだと思います。家族だけの小さい島では、虚飾なんてものもいらないのだから。
いっせいに花を咲かせる植物、深緑色の海、島を洗い流す嵐。物語を彩る北欧の夏は生命感にあふれ、心にしみわたるようです。
おばあさんとソフィアの「朝時間」は、岬の突端へ出かけた朝。
島全体がもやに包まれた7月の朝です。
ソフィアがお母さんを亡くしたことに直接触れる場面はほとんどありませんが、その悲しみを島の豊かな自然とおばあさんがそっと包み込みます。
Love, まっこリ〜ナ