今日のカフェボンボンは、ポプリ研究家・熊井明子の『私の部屋のポプリ』。
日々の小さな出来事や好きなものに寄せる想いがたくさん詰まったエッセイは、季節の花の香りを閉じ込めたように可憐です。
『私の部屋のポプリ』
著者:熊井明子
出版社:河出書房新社
百花草と書いてポプリ。乾燥させたバラの花びらにさまざまな香料を混ぜて作るのが、基本的なポプリの作り方だそうです。
エッセイにはさまざまな花やお菓子、身のまわりのこまごまとしたものが登場します。「猫の命は九つ?」「幸福のおまじない」「氷の上のレモン」「薔薇の風かすかに」「やんちゃ坊主は紳士の卵?」と、心そそられるタイトルの話が1ページにひとつずつ。
「野の百合のように」は、熊井さんのランドセルの思い出。ズック製のランドセルに、お父さんが百合の花を描いてくれた。本当はピンクの百合がよかったけれど、使ううちに清らかな純白の百合が大好きになったこと。そして、ランドセルに入れた赤いお弁当袋には、お母さんお手製の小鳥の刺繍が入っていた……。
子どもの頃のかけがえのない記憶が、日々の暮らしを幸せにしてくれます。
本書の「朝時間」は、うす緑色の夏ガラス。
メキシコガラスの素朴な花瓶は、よもぎやミントの茂みを渡る風の色をしています。
匂い立つような緑とさわやかな風を感じてください。
Love, まっこリ〜ナ