これから年末にかけて、人と会う機会がぐっと増えてきますよね。ちょっとした差し入れを渡すとき、席へご案内するとき、確認のひと言をそえるとき…。「これで合ってるかな?」と、言葉に迷った経験がある方も多いのではないでしょうか。
今回は、マナー講師・林慶子さんの連載から、出番の多い「言葉のマナー」を3つピックアップ。言い換えの“理由”までやさしくおさらいして、今日からの会話をふんわりスムーズにしていきましょう。
背伸びしすぎず、でも感じよく伝わる言い方を、一緒に整えてみませんか♪
【1】すすめ方の正解は?二重敬語にならない「食べてください」
つい言ってしまいがちな「お召し上がりください」。実は、〈お~ください〉と〈召し上がる〉が重なって“二重敬語”の表現になります。
食品表示などでは慣用として定着しており、目くじらを立てる必要はありませんが、きちんとした場ではできれば避けたい表現です。

代わりに、丁寧で自然なのは「召し上がってください/召し上がりください/お食べください」など。
カフェでは「店内で召し上がりますか?」、手土産なら「どうぞ、みなさんで召し上がってください」がやわらかい印象に。
正解をいくつか持っておくと、差し出すひと言がぐっと上品になります。ちょっとした迷いが減って、笑顔で渡せるようになりますよ♪
(参考:お召し上がりくださいは間違い?「食べてください」の敬語表現)
【2】どの場面でも失礼なく!「お座りください」正しい使い方とは?
座るよううながす言葉は、実は「誰に」「どんな場所で」声をかけるかで選び方が変わります。

椅子にご案内するときは、「どうぞお掛けください」「お掛けになってお待ちください」が丁寧な言い方。
一方で「お座りください」は、しつけの「おすわり」を連想させることもあるため、目上の方やお客様には控えたほうが安心です。
畳や床に腰を下ろしていただく場合は、「どうぞお座りください」「お座りになってください」とお伝えするとやわらかな印象に。
多数の人に一斉に呼びかける場面では、“着席”を使うとスマートです。相手の立場や場所に合わせて言葉を選べば、案内の所作がぐっと落ち着いて見え、場の空気も穏やかになりますよ。
(参考:お座りくださいorおかけください…座ってほしい時の言葉のかけ方マナー)
【3】許可や確認を上品に◎「いいですか」の丁寧な言い換え
ビジネスでも日常でもよく使う「いいですか」。丁寧さの段階を知っておくと、場面に合わせて選びやすくなります。

「いいですか」<「よろしいですか」<「よろしいでしょうか」<「よろしゅうございますか」の順に、だんだん丁寧さがアップ。基本は「よろしいでしょうか」を押さえておけば、目上の方にも安心して使えます。
さらに、状況に合わせて
- 「かまいませんでしょうか」(してもよいか、可否の確認など)
- 「差し支えないでしょうか」(変更やお願いをするときなど)
- 「お間違いないでしょうか」(内容の確認など)
- 「いかがでしょうか」(提案をするときなど)
といったフレーズも持っておくと、表現がぐっとやわらかに。
言い方を少し整えるだけで、お願いも確認も角が立ちにくくなり、会話が気持ちよく進みますよ。

言いかたで全然違う!印象の良い「ことばの言い換え例」10選
おはようございます。好印象マナー講師の林慶子です。マナーや心の在り方を知って好印象な自分になる!すぐに実践できるコラムを、毎週火曜日にお届けしています。
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ちょっとしたことですが、とっさに出てくる一言で印象はグッと変わります。
まずは、今日出会うシーンでひとつだけ言い換えてみませんか。あなたのさりげない心遣いが、きっと相手の気分もふんわり明るくしてくれますよ♪

