朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、有吉佐和子のドラマチックな小説『悪女について』。
謎の死をとげた女実業家・富小路公子のスキャンダラスな一生を描いた作品。27人のインタビューから浮かび上がる公子の正体とは……。
『悪女について』
著者:有吉佐和子
出版社:新潮社
富小路公子の本当の姿を誰も知らない。誰かにとっては奥ゆかしく清純な女性。一輪の白百合のような人、捨て犬を抱いて涙を流した人、心の綺麗な人……。悪女だなんてとんでもない。天女のようだと語る人さえいる。
けれど、彼女と関わりのあった27人の男女が公子の人物像について語るうち、そのとんでもない裏の顔が次第に明らかになってきます。何人もの男を手玉にとって虜にする公子。男心を巧みに操りながらも、相手にちらりとも気づかせない。その手際の良さ、鮮やかさといったら。
ころりと騙されてしまうのは女も同じ。男も女も虜にしてしまう公子の魅力とはなんなのでしょう。いろいろな人を騙してしたたかにのし上がり、実業家として大成功したのは事実だけれど、どこか可愛らしくて憎めない。無防備で危なっかしく思えてつい手を差し伸べてしまう。そんな不思議な魅力をもった女性なのです。これぞ魔性の女の条件なのかもしれません。
公子の人物像を語る人の本性も顔をのぞかせるのが面白い。ワルイ女の怖さと魅力満載の一冊をぜひどうぞ。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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