今日のカフェボンボンは、『小川未明童話集』。
「赤いろうそくと人魚」をはじめとする名作集。
大人になって読むとより味わい深く、心にしみる童話です。
冬になると読みたくなるのはなぜだろう。
小川未明の童話には、凍てついた冬のイメージがある。
北の国の物語が多いのは、未明が新潟出身だからかもしれない。
人魚は、南の方の海にばかり棲んでいるのではありません。
「赤いろうそくと人魚」も、こんな始まりかたをする。
北方のさびしく冷たい海を眺めながら、
人魚は自分の子どもを人間界に産み落とす決心をする。
子どもには「こんな悲しい、頼りない思いをさせたくない」。
「人間は、魚よりも、また獣物よりも、人情があってやさしいと聞いている」……。
物語は人魚の美しい娘がたどる運命を描いているのだけれど、
暗い海の底で子どもと別れて暮らす人魚の気持ちが、
なによりせつなく思われてならないのです。
冬の星たちが地上をやさしく見守る「ある夜の星たちの話」、
風変わりなお客たちがおばあさんを訪れる「月夜と眼鏡」、
「眠い町」「野ばら」など25篇を収録しています。
『小川未明童話集』
著者:小川未明
出版社:新潮社
Love, まっこリ〜ナ