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日本のアンデルセン・小川未明の童話集

 

今日のカフェボンボンは、『小川未明童話集』

「赤いろうそくと人魚」をはじめとする名作集。
大人になって読むとより味わい深く、心にしみる童話です。

BONBON317

冬になると読みたくなるのはなぜだろう。

小川未明の童話には、凍てついた冬のイメージがある。
北の国の物語が多いのは、未明が新潟出身だからかもしれない。

人魚は、南の方の海にばかり棲んでいるのではありません。
「赤いろうそくと人魚」も、こんな始まりかたをする。

北方のさびしく冷たい海を眺めながら、
人魚は自分の子どもを人間界に産み落とす決心をする。

子どもには「こんな悲しい、頼りない思いをさせたくない」。
「人間は、魚よりも、また獣物よりも、人情があってやさしいと聞いている」……。

物語は人魚の美しい娘がたどる運命を描いているのだけれど、
暗い海の底で子どもと別れて暮らす人魚の気持ちが、
なによりせつなく思われてならないのです。

冬の星たちが地上をやさしく見守る「ある夜の星たちの話」、
風変わりなお客たちがおばあさんを訪れる「月夜と眼鏡」、
「眠い町」「野ばら」など25篇を収録しています。


20141213

小川未明童話集
著者:小川未明
出版社:新潮社

Love, まっこリ〜ナ

 

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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