今日のカフェボンボンは、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』。
『つむじ風食堂の夜』の作者が描く、サンドイッチの店「トロワ」を巡る物語。熱々のスープの湯気に、心も体も温まる。寒い冬におすすめの本です。
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』
著者:吉田篤弘
出版社:中央公論新社
失業中の「僕」は、職探しもせずにぶらぶらしている。かといって焦ることもなく、路面電車に乗って、隣町の古い映画館に通う日々を送っている。
僕が何より気に入っているのが、「トロワ」のサンドイッチ。朴訥な主人がていねい作るサンドイッチのおいしさといったら。
ハムのサンドイッチ、きゅうりのサンドイッチ。チーズの、いちごジャムの、たまごの、じゃがいものサラダの! そして、この店のメニューにスープが加わることになって……。
本当においしいスープってなんだろう。寝食を忘れてスープのレシピを模索する僕。冷えた体を温めてくれるスープ。しかもサンドイッチの味のじゃまをせずに。
僕のまわりの人たちはみなどこかしら不器用で、忙しさに身を任せたり、適当に人間関係を作ることを決してしない。だから時間がとても緩やかに流れていく。
この物語の「朝時間」は、冬の朝のスープ。
心のこもったおいしいスープに、体の芯がとけていきます。
Love, まっこリ〜ナ