今日のカフェボンボンは、『ことばの食卓』。
名随筆『富士日記』の著者・武田百合子の食にまつわるエッセイ集。牛乳、キャラメル、あんず、お弁当など、忘れられない思い出を独特の感性でつづります。
『ことばの食卓』
著者:武田百合子/画:野中ユリ
出版社:筑摩書房
おひな祭りの頃、百合子さんはいつも風邪をひいて、離れに寝かされた。するとおばあさんがお膳を運んできてくれる。おかゆと焼き麩、しらす干しにおかか。赤い掛けぶとんにくるまって最後に食べる干しあんずの味は……。
武田百合子さんの文章は色っぽい。そこはかとなくなまめかしい。それはたぶん、自分の肌で感じたことだけを言葉にするからだと思う。そしてときどき、心がしんとするほどさびしいのです。
ひとり食卓に座り、枇杷を食べながら思う懐かしい日々。「ああ。うまいや」と枇杷の実を食べた夫はもういない。向かい合って食べていた人は、見ることも聴くことも触ることも出来ない「物」となって消え失せ、私だけ残って食べ続けている……。
武田百合子の「朝時間」は、夏を過ごした海岸の家。
朝ご飯のあとのちゃぶ台で、早く浜へ行きたいと思っていた。昭和10年前後、百合子さんが小学生の頃のことです。
『遊覧日記』もおすすめです。
Love, まっこリ〜ナ
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