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武田百合子の『ことばの食卓』食べ物にまつわる名随筆

 

今日のカフェボンボンは、『ことばの食卓』

名随筆『富士日記』の著者・武田百合子の食にまつわるエッセイ集。牛乳、キャラメル、あんず、お弁当など、忘れられない思い出を独特の感性でつづります。

20130902

ことばの食卓
著者:武田百合子/画:野中ユリ
出版社:筑摩書房

おひな祭りの頃、百合子さんはいつも風邪をひいて、離れに寝かされた。するとおばあさんがお膳を運んできてくれる。おかゆと焼き麩、しらす干しにおかか。赤い掛けぶとんにくるまって最後に食べる干しあんずの味は……。

武田百合子さんの文章は色っぽい。そこはかとなくなまめかしい。それはたぶん、自分の肌で感じたことだけを言葉にするからだと思う。そしてときどき、心がしんとするほどさびしいのです。

ひとり食卓に座り、枇杷を食べながら思う懐かしい日々。「ああ。うまいや」と枇杷の実を食べた夫はもういない。向かい合って食べていた人は、見ることも聴くことも触ることも出来ない「物」となって消え失せ、私だけ残って食べ続けている……。

武田百合子の「朝時間」は、夏を過ごした海岸の家。

朝ご飯のあとのちゃぶ台で、早く浜へ行きたいと思っていた。昭和10年前後、百合子さんが小学生の頃のことです。

『遊覧日記』もおすすめです。

Love, まっこリ〜ナ

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「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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