昔から「寝る子は育つ」とよく言われますが、それは本当のことのようです。骨や筋肉の成長を促すのはもちろんのこと、脳を育てるのにも質の良い睡眠が欠かせません。子育て中のパパママはもちろん、将来お子さんが欲しいと思っている方も、子どもの睡眠について知っておきましょう!
あなたのお子さんの眠りの状態は?
次のチェック項目に当てはまる方は、お子さんの眠りを見直しましょう!
1. 睡眠時間は8時間未満になることが多い。
2. 寝るのは夜10時を過ぎることが多い。
3. 朝はなかなか起きず、機嫌が悪い。または、朝は子どもが起きるまで寝かせている。
4. 寝る時間も朝起きる時間も決まっていない。
5. あまり運動をさせていない。
6. 4歳を過ぎたが、2時間以上昼寝をさせている。または、夕方昼寝をすることがよくある。
7. 食事(授乳)時間は決まっていない。
睡眠中には成長に不可欠なさまざまなホルモンが分泌される!
睡眠には、(1)骨や皮膚などの細胞(タンパクや脂質)の代謝を促し、免疫力を高める。(2)日中の活動によって脳や体にたまった熱を放出して脳を休め、疲れやストレスを解消する。(3)必要な記憶と不必要な記憶を分別し、必要な記憶を定着させる。また、その記憶をいつでも引き出せるように情報をインデックス化するといった、子どもにとっても大人にとっても重要な働きがあります。
こうした働きには成長ホルモン、メラトニン、セロトニン、コルチゾールといったさまざまなホルモンが影響していますが、睡眠の状態が悪いと、これらの恩恵が受けにくくなってしまいます。
成長ホルモン
寝入って間もなくおとずれる深い眠り(ノンレム睡眠)の時に、一気に分泌される。タンパク質合成と軟骨発育の促進、脂肪分解作用もある。
メラトニン
眠りを安定させるホルモンで、「朝明るく、夜暗く」という環境で規則正しく過ごすことにより夜を感じると分泌される。睡眠の状態が悪いと分泌量が減り、それにより性的な成熟が早まってしまうという報告もある。
セロトニン
メラトニンが夜分泌されるのに対し、セロトニンは朝分泌が増える。神経伝達物質で、体温調節、睡眠、摂食抑制などに影響し、やはり睡眠状態が悪いなどの理由で分泌が減ると、不安や攻撃性が増すといった状態になることがある。
コルチゾール
ストレスに対抗するホルモン。朝分泌量が増え、夜分泌量が減る。自律神経を刺激し、日中の体を活動モードにするのに不可欠。しかし、ストレスが大きいと分泌量が増え、眠りを妨げることがある。
子どもは大人以上に十分な睡眠を!
睡眠は大人にとっても大切ですが、脳も体も未発達な子どもにとってはさらに重要です。それを証明するような研究がいくつも報告されていますが、そのひとつが鈴木みゆき先生の研究。
落ち着きがない、ボーっとしていて午前中の活動にのれない、無表情、理由もないのに攻撃性を示すなど、保育園で問題があると思われた子どもたちを、通常の子どもたち(5歳児)と比較調査したところ、前者の子どもたちは睡眠に問題がある子が多く、三角形をきれいに描ける子どもが少なかったそう。
ただ、その結果をもとに、問題のある子どもたちの睡眠を見直してもらったところ、問題は大幅に減ったそうです。つまり、成長過程の子どもにとって睡眠は、大人以上にダイレクトに影響する可能性があるということです。
日本の子どもは世界でも睡眠時間が短いと言われ、小学生でも授業中に居眠りする子が増えていると言われています。今までにもご紹介したように、睡眠不足は集中力、やる気を低下させますし、ウトウト状態は記憶プロセスを邪魔することもわかっています。
ぜひ、十分な睡眠を心がけてあげてください。次回は年齢別最適睡眠時間と、子どもの睡眠について気をつけたいことについてご紹介します!