日本人の4人に1人が睡眠に対して何らかの悩みや不満を持っているといわれます。
中には、ちょっと睡眠不足なだけで悩みなんてないと思われている人もいるようですが、たかが睡眠不足と放置するのは危険です。もしかすると、知らないうちに睡眠障害に陥っている可能性も!
基本的に2週間以上睡眠不足や不調などが続いた場合、専門医に診てもらうことをオススメします。

今回はいざという時に自覚できるよう、意外と身近な「睡眠障害」について知っておきましょう。

 

不眠は4つのタイプに分けられます


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眠れない(不眠)と一口に言っても、実はいろいろなタイプがあります。大きく分けると下記のような4つのタイプに分けられますが、それが一時的なものか、長期的なものかによって原因や治療法が変わってきます。

1.寝つきが悪い(入眠困難)
2.夜中に目が覚めてしまう(中途覚醒)
3.早朝に目が覚めてしまう(早朝覚醒)
4.眠ったはずなのに熟眠した感じがない(熟眠不全)

一過性の場合は、ストレス、睡眠環境の悪化、時差ボケや徹夜などによる生体リズムの変調など、比較的原因がはっきりしていて、改善しやすいものが多いようです。寝る前に「明日は重要な会議がある」と考えてストレスを感じていたり、熱帯夜の環境で寝苦しい日が続いていたり、数日間徹夜が続いてしまったと いった場合は、一時的に眠りの状態が悪くなることがあります。

しかし、このような不調はその原因が解消されれば、自然に元の状態に戻り、以前のようにしっかり眠れるようになることが多いです。

一方、長期的な不眠は年齢が高くなるにつれて増える傾向があり、その原因もさまざま。主な原因としては下記のようなものが考えられます。

1.高血圧や心臓疾患など睡眠の妨げとなる身体的障害
2.生活スケジュールの変動(昼夜逆転やひきこもり生活など)
3.ストレスや不安、うつ病
4.女性ホルモンの変動
5.アルコール、薬物による影響(カフェインやタバコも影響することがあります)
6.夜間ひん尿

その他、
7.睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に気道が塞がり、一時的に呼吸ができなくなる。そのため酸欠状態となり、眠りも浅くなるため、日中に強烈な眠気に襲われる)
8.むずむず脚症候群(脚に虫がはうようななんともいえない不快感で、寝付けない)

また不眠とは逆に、ナルコレプシー、特発性過眠症といった病気に分類される過眠も睡眠障害に含まれます。

 

睡眠障害に陥らないための7つの方法とは?


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ストレスが多く、夜型生活の人が増えている現状では、若い人でも眠りの状態が悪くなりやすいです。先ほどご紹介したように、一過性の不眠の場合、「明日、重要な会議がある」というストレッサーがなくなれば、ストレスも解消され、眠りも元に戻る可能性が高いのですが、“会社の人間関係がうまくいかない”、“休む暇なく次から次へと仕事が山積み、常に締め切りに追われている”など、慢性的なストレスを感じている状態は危険です。

そのままでも眠りは悪くなりますが、そこに新たなストレスが加わると、よりダメージは大きくなってしまいます。不眠が深刻化するだけでなく、身体的、精神的病気を生んでしまう可能性も! そんなストレスのスパイラルに陥らないために、下記のような生活を心がけましょう!
1.毎日、6時間程度の睡眠を心がける(週末の寝だめはNG!)
2.規則正しい生活を心がける。
3.朝起きたら太陽の光を浴び、夜は暗い環境で過ごす。(夜はリラックスするために強い光は避けましょう)
4.精神的ストレスは眠りの妨げになるので、リラックスするために適度な運動をする(頭を使っている人ほど意識して運動を。夕刻の有酸素運動はカラダが心地良い疲労を感じ、眠りやすくなります)
5.ゆっくりぬるめのお風呂に入る(副交感神経を優位にしてくれます)
6.仕事がたまっていても、ある程度の時間がきたら手放す(頭から切り離す工夫を。まじめで責任感の強い人、競争意識が高い人ほど仕事に縛られやすいので、「今日はここまで、よくやった!」と少し甘い評価で達成感を感じられるような意識を持ちましょう)
7.悩みや不快感などが強い場合は誰かに相談する(友達に相談するのもOKですが、自分を客観的に見たいなら、カウンセリングがおすすめ)

そして何より気をつけたいのは「寝なくちゃ」と思い過ぎないこと。眠れない状態にあると、つい眠ることに執着してしまいがちですが、思い過ぎてしまうとそれが新たなストレスになり、一層眠れなくなってしまうこともあります。それが続くと「今夜も眠れないかも」と恐怖に感じてしまい、さらに深刻な状態になってしまうことも。
眠れそうもない時は無理にベッドに入らず、寝室から出て自分の好きなことをして過ごしましょう。ベッドに入って静かな環境になるとつい、考え事をしてしまうと言う人は、テレビや音楽をつけておくのも手(子供が眠る際はテレビはNG。というのも子供は興奮しやすいため)。そして、もし2週間以上その状態が続く場合は専門医に相談を(神経内科、睡眠外来など)してみてください。
次回、後編では女性特有の睡眠障害、「概日リズム睡眠障害」についてご紹介します。

 

 

 

 

この記事を書いた人
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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
Written by

睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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