お酒が好きな方は多いと思いますが、お酒も眠りの質を左右するひとつの要因です。眠るためにお酒を飲んでいる方は逆効果になっている可能性があるので、一度お酒の飲み方や量を見直してみましょう!
アルコールで良い眠りは得られない!
日本人のアルコール摂取量は他の国と比べると、決して多くはありません。
しかし、眠るためにお酒を利用している人はとても多いようで、オーストラリア、スペイン、ブラジルなどの日本を含めた10カ国3万5000人を対象に2002年に行われた国際疫学調査では、「不眠を解消するためにお酒を利用している」と答えた人の割合は、日本が1位でした。
その一方で「不眠を解消するには医者に相談する」と答えた人の割合は日本がもっとも低く、医者よりもお酒に頼っている日本人の実態が露わとなりました。お酒を飲んで質の良い睡眠がとれれば問題はないのですが、実際はやはりお酒の飲み過ぎは眠りの質を低下させることが、様々な研究からわかってきています。
大量のお酒は、睡眠中枢と覚醒中枢を麻痺させる
アルコールには覚醒水準調整作用といって、興奮している人には鎮静効果を、抑うつ状態の人には興奮効果をもたらす作用があります。ですので、仕事で緊張していた人がお酒を飲めばホッとできるのは確かです。
しかし、ココが落とし穴! 実際お酒で眠ろうとするとかなりの量が必要になるうえ、アルコールによる眠りは本来の睡眠とはまったく質が異なり、睡眠中枢・覚醒中枢が麻痺して起こるもの(麻酔薬と同じように意識を喪失させるもので、飲みすぎてアルコール中毒となると、呼吸中枢まで停止してしまうこともあります)です。
そのため、ぐっすり眠れるように思っても睡眠中に行われるはずの機能回復過程はほとんど期待できません。
つまり、お酒で眠る生活を続けているとどんどん疲れが蓄積され、またアルコールを分解するために睡眠中も肝臓が休まらず、体には大きな負担となります。
アルコールには①レム睡眠(記憶の定着に重要)を減少させる、②交感神経を刺激して中途覚醒を増やす、③利尿を促す作用があることから、何度も目が覚めたり記憶があいまいになってしまうことも…! お酒が習慣化すると、アルコール耐性ができてしまうためアルコール量がどんどん増え、やがてはアルコール依存+不眠症という状態に陥ってしまうことも少なくないので飲みすぎには注意が必要です。
とはいえ、アルコールは人生のスパイス。暮れにかけて、飲み会が増える方も多いことでしょう。お酒と上手につき合うには、眠るためにお酒を利用するのは避けて飲みすぎには気をつけること。また、良質な睡眠を確保するためには就寝の2~3時間前にはお酒を切り上げるように心がけて、楽しく、美味しく、健康にお酒を楽しむようにしましょう。