知ってビックり! 日本人の睡眠事情

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あなたは今、何時間眠っていますか? 睡眠について勉強し始めたとき、睡眠不足は男性に多いものと思っていました。でも、その後、いろいろな調査報告から、むしろ女性のほうが寝ていないことがわかりました。
理由としては、共働きの増加や労働時間の延長、子育て・家事は女性のものだという社会慣習、そして、女性特有の生物的メカニズムなどが上げられます。女性の眠りについては次回じっくりお話しますが、今回は日本人の眠りを中心に考えてみたいと思います。

世界の中でもっとも寝ていない日本女性?!

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2000年に行なわれたNHK国民生活時間調査によると、日本人の平均睡眠時間(10歳以上)は、

    • 平日:7時間23分
    • 土曜日:7時間38分
    • 日曜日:8時間09分

1960年の同じ調査では、平日と土曜日がどちらも8時間13分、日曜日が8時間31分で、この40年で平日も週末も短くなっています。
また、この調査より前の、NHK放送文化研究所世論調査部が「生活時間の国際比較」(大空社:1995)で発表した平均睡眠時間の国際調査(20歳から59歳までの男女の睡眠を調査)では、

    • 日本人:7時間33分
    • イギリス:8時間31分
    • アメリカ:8時間16分
    • カナダ:8時間9分
    • オランダ:8時間12分
    • デンマーク:7時間53分
    • フィンランド:8時間16分

のいずれの国よりも短いという結果も出ています。
この調査では、男女それぞれの睡眠時間も調べられていますが、欧米では男女の差はほとんどないか、女性のほうが10~20分程度睡眠時間が長いという結果が出たのに対し、日本では、男性7時間48分、女性7時間20分となり、女性のほうが28分も短いという結果が出ました。日本男性の睡眠時間は欧米の平均より20分も短いのに、日本女性の睡眠はその男性よりさらに短い。つまり、日本女性は世界の中でもっとも寝ていないといえるのです。
近年、韓国も日本と似たライフスタイルになってしまっているため、睡眠時間が短くなっているようですが、その韓国と比較しても日本人の睡眠時間はまだ短いようです。

睡眠でわかる日本人の生き方! クオリティー・オブ・ライフ(QOL)をもっと真剣に考えよう

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「睡眠時間は長すぎても短すぎてもダメ!」で、もっとも病気になりにくい睡眠時間は6時間30分以上~8時間未満だと述べました。つまり、日本人の睡眠時間が短くなっているといっても、この範囲に入っているので、理論的にはまだ安心と言えるのですが、私は手放しに喜ぶのは危険だと思っています。
というのも、平均睡眠時間は7時間台でも、個人レベルで見ると、6時間を切ってしまっている人が増えていますし、この調査は欧米人が対象。最近、病理調査においても欧米人はかなり太らないと糖尿病になりにくいのに、日本人はそれほど太らなくても糖尿病になりやすいなど、人種による違いが報告され始めています。

つまり、欧米人は6時間30分以上~8時間未満で健康を維持することができても、人種もライフスタイルも違う日本人に必ずしもあてはまるとは言えないからです。睡眠時間については個人差や年代差も大きいので、平均的な睡眠時間を考えるより、自分の体に着目した眠りを考えることが必要です。
また、同じ睡眠時間でも、寝るまでの時間、仕事を早く終えて趣味や娯楽に時間を費やすのと、寝るギリギリまで仕事をしているのとでは、精神的ストレスの蓄積に大きな差があるように思います。日本の社会では利益効率ばかりが取り上げられているため、“寝ないで働く人が有能”といった間違った認識がされていたり、“なるべく短い睡眠時間で生活したい”と考える人さえ出てきています。

また、せっかく効率よく仕事を終えても、そういう人には次の仕事が任され、結局帰れないというケースも少なくありません。雑誌でもアフター5がいつの間にかアフター6、アフター7という表示になっていて、働く時間が知らず知らずのうちに長くなっています。これでは、人はただの使い捨てロボット。1日の疲れを癒す時間がなくなっていることは、良い眠りの妨げになるだけでなく、肉体的にも精神的にも決して良いことではありません。

日本は世界をリードしているといわれますが、自殺者は年間3万人を越え、不眠やうつになってしまう人も増える一方。社会でいろいろな問題が起きているのに、じっくりと目を向け、解決するという気持ちは薄く、どこか人任せ。世界をリードしているという実態は、寝ないで働かなくてはならない、世界で一番小さな歯車になっているというのが本当の姿なのでは…。そんな気がしていますが、みなさんはどう思われますか? 今回は、“お目覚め術”という範囲を超えて、日本人の睡眠事情について、突っ込んでお届けしました!
※参考文献:「快適睡眠のすすめ」(岩波新書)堀忠雄著

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QOLを上げ、良い眠りを確保するには、自分の価値観を見直すことも大切。次の項目にあてはまる数が多い人は、日本人的気質が高く、精神的に自分を追い詰めたり、ワークホリックになりやすいので注意して。

  • 何よりも仕事が大切。プライベートな約束も仕事のためにキャンセルすることが多い
  • 体調が悪くても仕事は休まない
  • 仕事は、つらいのがあたり前だと思う
  • 平日は家と仕事場の往復になることが多い
  • 仕事関連の人以外に会うことが少なくなった
  • 月曜日の朝、起きるのがとてもつらい
  • 仕事が終わる時刻は夜7時を過ぎることが多い
  • 睡眠時間がもっと短くできたらいいと思う
  • 正直、寝ても寝ても眠りたりない感じがする
  • 6時間以上眠るのは贅沢だと思う
  • 何でも完璧にやらないと気がすまない
  • 寝るときに考えることは、悩み事や心配事が多い
  • 自分はあまり評価されるべき人間だとは思わない
  • ストレスがたまっていると思う
  • 家に居場所がない
  • 寝る時間はいつも深夜12時を過ぎる

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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
Written by

睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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