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朝の心・夜の心

子どもの頃、真っ暗な部屋に一人にされると、怖くて眠れなかったという経験は多くの人にあるはず。これは、「不安」という気持ちが原因ですが、ぐっすりと眠るためには、「安心・安全・心地いい」といった気持ちでいることが、とても大切です。睡眠中はまったくの無防備になるため、本能的に不安などを感じると一種の防衛本能が働いて、眠りが浅くなると考えられます。

そういわれても、大人になった今は暗闇も怖くないし、大丈夫なのでは? と思う方もいらっしゃるかもしれません(生理学的には部屋を暗くすることはぐっすり眠るために重要)。でも、今のあなたの生活を振り返ってみてください。暗闇は怖くなくなっても、「不安・怒り・悲しみ・恐怖・葛藤」は増えていませんか?

こういったマイナスの感情は、いわゆるストレスになります。ストレスは交感神経を刺激し、自律神経を乱すため、眠りの妨げに。眠りが浅い、目覚めが悪いという人は、朝目覚めたときの気持ち、夜眠るときの気持ちを、一度、意識してみるとよいでしょう。

ちょっと矛盾するように感じることですが、適度なストレスは、メリハリのある生活を送るためには必要です。人の心はとても不思議で、ストレスがありすぎても、なさすぎてもよくないのです。「会社に行く」という行動ひとつとっても、それをほどよいストレスと感じれば、朝起きるという行動につながります。でも、それが強いプレッシャーになっていれば、眠れない・起きれないという行動として現れます。

つまり、ストレスにもプラスに働くストレスとマイナスに働くストレスがあり、それらをうまくコントロールすることが、睡眠はもちろん、QOL(クオリティーオブライフ)を高めるカギといえるのです。

夜は力を抜いて、朝は笑顔でスタートしましょう!

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そうはいっても、ストレスをコントロールすることは、そう簡単なことではありません。大人になると感情はより複雑になり、大きな問題も起こってきます。一見、ストレスをうまくコントロールしているようでも、それはただ、自分の感情に蓋をしてしまっている場合も少なくありません。では、どうすればいいのか。ポイントは5つ。

ポイント1

よく眠ること。実は、睡眠は、嫌な記憶を消去し、記憶や気持ちを整理してくれる働きがあります。ですから、ちょっとしたストレスなら、しっかり眠れば忘れることができます。

ポイント2

自分がどんなタイプの人間であるかを知ること。まじめで完璧主義。負けず嫌い。責任感が強い。人に弱みを見せるのが苦手。心配性。執着心が強い。人に合わせてしまう。悩みがあると頭から離れなくなるといったタイプの人は、ストレスが溜まりやすく、眠れなくなりやすい傾向があるので要注意。「仕事だから頑張らろう」と思っても、心の奥では「しんどい」と悲鳴をあげていないかを確認し、自分の心にうそをつきすぎないこと。

ポイント3

その日のストレスはその日のうちに解消すること。これをすれば無心になれる、心が解放されるといった自分なりのストレス解消法をみつけて、寝るときには全身の力が抜け、心が穏やかになれるように工夫を。解決できない心配事や感情も、寝るときだけは頭の中にある箱にしまうように意識してみるとよいでしょう。そして朝は、鏡を見て笑顔からスタートして。ストレスが抱えきれなくなっていると感じたときは、一人で悩まず、必ず誰かに相談を!

ポイント4

自分がストレスと感じることを発見し、心が弱っているときは回避すること。心が元気なときはなんとも思わないことでも、心に元気がないときは大きなストレスになってしまうことがあるので、疲れているときは、避ける勇気を。また、病気は気のもちようといわれるように、同じ仕事でも「楽しい」と思いながら仕事をするのと、「つらい」と思いながら仕事をするのとでは、その後の疲労感が違うといわれています。心がネガティブになっていないか、ときどき冷静になって確認を。

ポイント5

心のパワーを充電すること。自分が楽しいと思えること、自分が自分らしくいられる時間を積極的にもつこと。ストレスは人によってもたらされることが少なくありませんが、癒してくれるのも人です。愛する家族、いい仲間と過ごす時間を大切にしてみてください。そして自然もまた、心を元気にしてくれる源です。朝はカーテンを開けて太陽のパワーを全身に取り入れ、午後のひと時は、近くの公園で緑や風の心地良さを感じてみてください。

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夜の気分、朝の気分がよくないと感じる人は、眠るとき、起きたときの行動にも注意を。朝でも夜でも、大人になるとニュース番組に触れることが多くなりますが、テレビでも新聞でも明るいニュースより暗いニュースが多いもの。それは無意識のうちに気分を落ち込ませてしまう可能性があります。ニュースを知ることは必要なことですが、心が弱くなっていると思ったときは、気持ちいい音楽を聴いたり、楽しいニュースにチェンジして。そのほうが、心も元気になれます!

*気分の落ち込みや、眠れない、起きれないという状態が2週間以上続いている人は、一度、専門機関に相談を!

 

 

この記事を書いた人
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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
Written by

睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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